デンタルダイヤモンド  1997年 VOL 22 NO293 別冊号掲載 
こんなときどうする Part2

セクハラをしていると指摘された
歯科医院は院長(男)対女性スタッフという構成が大半。何気ない言葉や行為が、セクハラに。 そんな馬鹿なと思っても後の祭り。突然スタッフから「院長はセクハラをしている」と言われ たら……。

セクハラをしていると指摘された
河田 日頃からの人間関係が大切
人間関係が良好なら、少々のことは問題にならない。普段の対応や待遇、人間関係が良好であ れば、少々のことは問題にならないと思います。私自身、セクハラと言われても仕方のない言 動もしばしばですが、幸いにも今まで直接指摘されたことはありません。もし、今後指摘され るようなことがあれば、指摘されたことに関しては即刻陳謝し言動を慎むでしょう。同時に、 失った信頼を回復すベく最大の努力を惜しまないと思います。

経営コンサルタントのアドバイス
 「好意的な人から言われた何気ない一言も、嫌な人に言われたらセクハラになる」ので非常 に微妙な問題になります。つまり個人差があるわけです。「なかには自意識過剰な女性もいる ので注意」しなければならないれけです。セクハラの問題は相手が不快感を感じなければセク ハラ問題にはならないということですから、それを頭において対応することが肝要でしょう。
 意図してセクハラをしている場合は論外として、無意識にそのような行為をしていないかど うか、「自分の胸によ〜く手を当てて考えてみる」こともときには必要でしょう。「聖人君子 でいる」ことは理想ですが、従来から何気なくやっていることでセクハラつまりスタッフが不 快感を感じるかどうかという側面から見直してみる必要があります。たとえば不必要に身体に 触れていないかどうか、卑わいな冗談を言っていないかどうか、休日の過ごし方についてうる さく聞いていないかどうか等、反省してみる必要があります。
 しかしあまりに神経質になり過ぎるのもどうかと思います。「日本の常識は世界の非常識等 と言われておりますが、とくに性風俗に対する感覚は日本の場合少し先進国に比べて異なるよ うです。ヘアヌードやポルノ写真はアメリカ等では特定の店でしか買えないようになっており ますが、日本ではヘアヌードの写真なら市販の週刊誌でさえ堂々と掲載しており、最近は国際 線の飛行機にその種の週刊誌を置かないようにしている航空会社もあると聞いております。そ ういう点からすればスタッフの目に見える所に「ヌード写真等が掲載されている週刊誌等が置 いてある」ぐらいは許されるのではないかと思います。ある歯科医院ではスタッフ用トイレに 堂々とヌード写真がはってあり驚いた経験があります。いすれにしても、その医院の女性スタ ッフが不快感を感じない程度の範囲であればよいということになります。
 逆に「代診を含めてすべて女性のとき僕には逆のケースがありました」という回答もありま したが、「ベテランスタッフ」になるとその種の話がかなり露骨になり、女性に限らず若い人 が困惑する場面があります。そういう面に注意を向けていく必要があるわけで、アレはダメ、 コレはダメといって禁止するものではないように思います。要は感覚の問題であり、軽い話題 でサラリとした内容なら問題にならないのではないかと思います。
 はっきりしていることは、診療所内の「人間関係が良好あれば、少々のことは問題にならな い」ということです。むしろあまりに気にし過ぎてピリピリしますと、人間関係そのものがお かしくなります。診療に集中しておればそのような問題は起こらないでしょう。無自覚でその ような行為をしている場合は病的な問題になりますので、ー度専門医に相談されるよう勧めま す。