デンタルダイヤモンド  1997年 VOL 22 NO293 別冊号掲載 
こんなときどうする Part2

税理士の選び方や付き合い方
数字に弱くて……。節税や経営面での専門家のアドバイスは心強いもの。親身になってくれる 税理士や経営コンサルタントの選び方。付き合い方で心がけていることは……。

税理士の選び方や付き合い方
河田 アドバイザーとして意見を聞く
他人のお金を扱う税理士と院長の立場は、おのずと異なる。税理士や経営コンサルタントの アドバイスが如何なるものであっても、責仕はすべて院長が負う現実を踏まえて付き合いま す。すなわち、世の中の基本的ルールや考え方を聞いたり、相談したうえで、自己の責任に おいて方針を決定すべきと心得ています。

経営コンサルタントのアドバイス
 税理士は納税者に代わって税務代理、税務書類の作成、税務相談を業として行う公的資格を もつ専門家とされています。税理士でもそれぞれの専門があり、とくに所得税に詳しい税理士 とか、相続税に詳しい税理士といった得意、不得意があるようです。また税理士は大蔵省の管 轄になり、指導を受ける(懲罰権もあるとされている)ことから、納税者よりも税務署のほう に向いて仕事をしている人がいるのも事実です。したがって税理士の仕事に対する姿勢、方針 によるところが大きいように思います。それと税理士の人間性、人柄による面も大きいと思い ます。
 たしかに歯科医療業としての特殊性の理解についても、他の歯科医院の多くを担当していて 業界に詳しいことに越したことはありませんが、歯科医院専門の税理士というのは近くにそれ ほどいるわけではありません。1〜2年程度の税務業務をみていれば、その気になればいくらで も歯科医療業の勉強ができるはずです。要はその税理士の顧容に対する姿勢、サービス精神が 旺盛かどうかにあります。とくに税理士の本来の業務をどこまでやってくれているか、税務代 理と税務喜類の作成以外に先生にとっての税務対策をどれだけ考えてくれているかがポイント になると思います。たとえば確定申告して終わりでなく、以後に発生してくる税金の額と支払 い時期を明示して、納税資金の準備の資料まで作成してくれる税理士もいます。
 最近は自称経営コンサルタントが増えてきています。公的な資格といえば中小企業診断士で すが、経営コンサルタントとは、その医院の経営環境、経営方針、経営内容を把握して、経営 上の問題点を院長白身の問題を含めて指摘しアドバイスをするのがその業務です。当然歯科医 療についての持殊性すなわち需要構造や競合状況、先生の得意な分野の関係等々について承知 していないと適切なアドバイスができません。経営コンサルタントは玉石混合で「結局は責任 はとらずに、金だけとろうとする」人もありますし、適切にアドバイスを受けて役立っている 人もいるでしよう。そういう意味でも経営コンサルタントとしての業務能力は当然のこととし て、仕事に対する姿勢と人間性の問題が大きいと思います。したがって、過去にどれだけの指 導実績をもっているかがポイントでしょう。経営コンサルタントに依頼される場合は、指導を 受けた経験のある友人か、知り合いの人に紹介してもらうのがよいでしよう。
 税理士にしても、経営コンサルタントにしても「歯科医業経営の専門家ではない」というこ とです。経営は先生自身が行うもので、責任も先生白身がとらねばなりません。そういう意味 でお互いの信頼のうえに「親身になつて相談にのってくれる人」に依頼することが肝要です。 その場合でも盲目的にすペて依頼してしまうのではなく、ある程度は知識をもちいろいろと質 問をし、相手の考えを聞さ、節税対策や経営の参考にしていくという姿勢が必要でしよう。