デンタルダイヤモンド  1997年 VOL 22 NO293 別冊号掲載 
こんなときどうする Part2

自費診療患者が来院、料金未払い
診療は医師と患者との信頼関係のうえに成り立つもの。自費の患者で補綴物ができ上がったの に来院せず、料金を払ってもらえない。いったい、どうしたらよいか。泣き寝入り?

自費診療患者が来院、料金未払い
河田 信頼関係が不十分なため生じる
十分な信頼関係が得られていないからこそ生じるトラブルだと思います。自動車事故の終み でこれに類した経験はありましたが、稀なケースでもありますので、キッパリあきらめます。

経営コンサルタントのアドバイス
 「稀なケースでもありますのでキッパリあきらめる」という先生や、実際に遭遇した場合 は、「多分あきらめることになりそう」という先生もおられます。自費診療の場合は材料費 や技工料も高く、永久に未収となると負担も大きく大変ですが、都心部の歯科医院でこのよ うな後払いのシステムをとっていると未収になるケースが増えます。また悪質なケースは装 着後に支払うといいながら支払わない患者がいることです。したがって、多くの患者のなか には時に予期しない悪質で意図的に支払わなし患者がいますので、そのようなリスクを回避 するために料金の支払いシステムを考慮する必要があります。ほとんどの患者はキチンと説 明し、納得したうえで治療を始めれば未収になることはますありませんが、例外もあります ので注意する必要があります。保険の患者でもテックを入れたら来院しなくなったというケ ースは結構あります。患者のなかには勝手な考えをする人もいるもので、いくら説明してい ても綺麗だからこれでいいやとこなくなる患者もいるのです。それを避けるために、れざと 汚いテックを入れるという場合もあるようです。
 自費診療料金の未収にならないために一番よいのは「十分なインフォームド・コンセント の後、治療計画と見積りを書いた用紙を渡し、次回に診療費の一部を内金として払ってもら う」ことでしょう。少なくとも「印象時に半額いただくように」することと、次回に装着す る場合は必ず支払いの準備をしてきてもらうよう確認しておくことです。
 お金のことばかりを強調してありますが、その前提として自費診療の勧め方も問題になり ます。患者にコンサルテーションした後ですぐに決断を迫るよりも、ある程度の時間的余裕 を与えることが必要でしょう。ただ患者のなかには決断のできない人もいますので、自費診 療をなぜ勧めるかを話し再度確認して治療契約書を作成し、双方で捺印かサインをしておく べきでしょう。「患者が自費診療に対して迷いがあっても要所要所でチェック」を行えば、 そのようなリスクは減少するかもしれませんが、そのような迷いを起こさせないためにも治 療内容、保険診療との違い、保証期間等について理解しやすい内容の説明をしておくべきで しょう。
 以上のような手順を踏んでいるのに質問のような行動をとった患者が出た場合は、法的手 段をとるという意志を患者に伝えます。まず内容証明入りで配達証明付きの郵便を患者に出 します(郵便局にいけば用紙、封筒等販売しています)。その文面に「キチンと説明もし、 あなたのサインももらっているにもかかわらず未だに支払いがないということは、支払う意 志がないものと断定して、本日から何白後にどこどこ裁判所に訴訟の手続きをとる」という 主旨の内容の文書を入れて送ります。しかし実際に訴訟を起こしますと裁判費用がかかりま すので、そういう姿勢を示すだけにとどめます。