デンタルダイヤモンド  1997年 VOL 22 NO293 別冊号掲載 
こんなときどうする Part2

常勤スタッフのアルバイトが判明
夜のアルバイトで仕事に支障をきたすとしたら、それは本末転倒。常勤スタッフ(歯科医師、 衛生士、助手、受付)のなかに、夜のアルバイトをしている者が判明した時、どうしますか。

常勤スタッフのアルバイトが判明
河田 仕事に支障がない限り黙認
直接的な被害や他のスタッフからの苦情がない限り黙認します。被害や苦情があった場合には、 その件に関しての改善を求めます。改善が認められない場合には、仕事をやめていただくこと をお願いします。アルバイトの禁止は、根本的な問題解決にはならないと思っています。

経営コンサルタントのアドバイス
 最近はスタッフの休日や勤務時間外のアルバイトが増えているようです。院長が友人の先生 とあるスナックに入ったら、スタッフの一人が勤めていて驚いたという例もあるほどですから、 院長の知らないうちにアルバイトしているスタッフもいるはずです。技工士が他の歯科医院で アルバイトをするというケースは結構あります。アメリカでは、警察官がガードマンのアルバ イトをしているなど日常茶飯事のこととされていますが、日本もそのような状況が見聞される ようになりました。
 基本的には労働時間外の時間を何に使うかは個人の自由であって、使用者が拘束したり、禁 止できるものではありません。したがってどうにもならない問題なのですが、勤務時間として 拘束している時間については院長の管理下にあるわけですから、その勤務時間に夜のアルバイ トが影響しているようなら「注意(口頭あるいは文書による注意)」したり、「警告(文書に よる注意と減給」したり、「解雇」することもできます。
 実際にそのようなケースがあった先生方らの回答にありますように「絶対に職場に迷惑をか けないことを誓わせて黙認していた」にもかかわらず「やがて遅刻が多くなり、他のスタッフ との折り合いが悪くなって結局退職しました」と報告されており、「それ以降は職務規定で禁 止」しているとされています。ただ職務規定で禁止していても、法的な措置はとれません。で すから規定していても意味がなくなりますが、それでも規定していたほうがよいと思います。 法律の専門家が見れば問題があるでしょうが、医院内の内規として「原則として禁止」してお いてもよいのではないかと思います。もし隠れてアルバイトをしているスタッフが出た場合、 日常の業務に影響がなけれぼ黙認せざるをえませんが、しかし心理的な歯止めぐらいにはなる でしょう。夜のアルバイトを理由に解雇し、スタッフが不当解雇で訴訟を起こしてきますと問 題になりますが、院長の方針として原則禁止にしておいてもよいでしょう。
 不幸にしてこのような事例が発生した場合の問題として、日頃の管理基準をしっか確立して おくことが大切だと思います。たとえば遅刻や早退、欠勤等の勤怠管理、′頻ミス発生件数や トラブル発生件数の管理、院内のミーティング参加あるいは勉強会への義務づけ等、また院内 の人間関係維持のための行事への参加等もできる限り参加が望ましいことを指導していくペき でしょう。そして罰則規定も作成しておいたほうがよいと思います。また全体の管理基準が甘 いと、少々勤務態度が悪くても罰則規定が適用できなくなりますので、管理も厳しくしておく ことが前提です。また現行の給与体系が世間一般の給与水準からみて、低くないかどうかの検 討もしてみる必要があります。そのうえで本人とよく話し合うことです。