デンタルダイヤモンド  1997年 VOL 22 NO293 別冊号掲載 
こんなときどうする Part2

スタッフ間に派閥が……
派閥といえばすぐ政治家先生が頭に浮かぶが、大なり小なり人が集まれば、というのが常識。 医院内においてでも同様。そのスタッフ間に派閥ができて、二つのグループに割れてしまっ たら……。

スタッフ間に派閥が……
河田 直接被害のない限り無関心を装う
いずれ退職などにより自然解決するでしょうから直接被害のない限り無関心を装います。一 方からの苦情も極力聞かないようにしますが、問題は対立が表面化し医院の方針と異なる方 向に事態が進展した場合に限り、双方に注意を促します。

経営コンサルタントのアドバイス
 女性に限られた現象ではありませんが、細かいことに関心があり、どちらかといえば感情 的、感覚的なとらえ方をする人が多いので、派閥というよりもグループに分かれやすいよう です。自然発生的にできるものですが、放置しておきますとだんだん険悪な雰囲気になる場 合があります。そしていったん険悪な雰囲気になりますと、どちらかのリーダーを解雇しな い限り解消しませんので細心の注意が必要です。
 だいたいこのようなグループができる場合というのは、院長のリーダーシップが強力でな い場合に発生やすいようです。院内に自由な雰囲気があるほどグループ化しやすいようです。 この場合、リーダーつまりグループを引っ張っているスタッフがいるはすで、大きいグルー プになるほどリーダーの力は大きくなっているはずです。仲良しグループなら何ら問題はあ りませんが、院長に敵対することはなくとも、グループ間の対立が生じますとコミュニケー ションが悪くなったり、協調体制が崩れてしまいます。そこでグループができていると判断 された場合、院長は「どちらか一方に片寄るのは得策ではないと思います。「あからさまに 片方の肩をもつと収拾がつかなくなる」からです。ただ公平に接するというだけでなく、院 長の立場で積極的に協調するよう働き方けることが必要です。たとえばミーティングを通じ て連絡の仕方、情報の伝え方、協力の仕方など具体的に教えておく必要があります。また診 療中においても注意を配りどのような言い方をしているか、どのように協力ているか、業務 遂行上のトラブルは起こっていないかどうか、目配り、気配りが不可欠となります。
 そのように注意していても対立が目立ってきた場合は、両方のリーダーを呼んで注意をし、 仕事に差し障りが生じていることを話し、院長に協力しない場合は解雇すると宣言してつよ い姿勢をとる必要があります。だいたいリーダーになるようなスタッフはしっかりしていて 能力も高い人が多いはすです。しかし最悪の場合にはどちらかのリーダーを解雇せざるをえ ないわけですが、院長に敵対していない限りは、より能力の高いリーダーを残します。その 場合何人かのスタッフを連れて出ていく場合も想定されますが、その場合は予想されるスタ ッフを呼んで引き留めます。「君が浮き上がるようなことはさせないから安心して残って欲 しい」と説得します。それでもそのグループの結束力が強いほどつられて退職していく者も 出ますが、やむを得ません。「全員解雇する」という意見もありますが、全員の解雇は医院 に多大の影響を与えますので、あまり重要視していないスタッフで、早く退職させたいと思 っているのでなければ、そこまで踏み切らなくてもよいと思います。このような問題はでき るだけ早い時期に手を打つというのが鉄則で、問題化して対立が深刻になりますとそれだけ 犠牲者や打撃が大きくなるのです。