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経営コンサルタントのアドバイス
歯科衛生士の給与調査を実施してみたことがありますが、ほとんどが月額金額にして24〜25
万円程度でストップしております。これが現在の歯科医院での支払い限度額であろうと思われ
ます。飛び抜けて高い給与の衛生士もいますが、その場合は主任とかリーダーといった管理職
能の一部を担当している場合が多いようです。つまり初任給から年功給与制度の給与体系によ
って昇給していって、勤続年数にして10年を超えてきますと、ほとんど昇給は頭打ちになって
います。かなりやり手で若いスタッフを管理指導できる能力がありますと、30万円、40万円の
給与のスタッフもいますが、ほとんどのスタッフは25万円ぐらいのところで頭打ちになります。
序々に保険点数の伸びが低下してきている現状からして、一般企業のように昇給を維持してい
くことはきれめて難しいものがあります。
最近は大企業の管理職を中心にして「年俸制」の給与体系に移行する企業が増えてきており
ます。人事測定研究所が実施した平成7年12月の「人事・賃金に関する総合実態調査」によれ
ば、年俸制を導入している企業は、一般職能で3.7%、管理専門職能で9.7%となっておりま
す。管理職でも1割弱しか導入していないのですが、しかし3,000人以上の大企業では半数が
導入予定としております。今後は歯科医院でも検討せざるをえない時期がくると思います。た
だ年俸制の給与というのは、単純に現在支払っている給与の昇給をストップして12力月で割っ
て支払うというものではなく、能力、技術力等を評価して給与額を決定していることと、目標
を設定して、それに基づいてどれだけ目標を達成したかによって年間の給与額を決定するわけ
です。そうした能力評価のシステム、目標管理システムをつくり上げていかないと、給与だけ
を年俸制にするというのは問題があります。
一般の企業で今一番多い給与体系は職能資格制度ですが、すでに「職能資格制度を取り入れ
ています」という先生もおられます。「勤続年数、資格、経験で等級を決め、面談にて期間を
区切つて目標設定をし、それによって評価をし、昇給、賞与を決めて」いくわけです。どのよ
うな方法にせよ、スタッフの勤続年数が伸びていった時に問題が表面化してきます。「最高賃
金を明文化」して「いくらまで」と決めてしまえばスタッフのやる気はなくなります。さりと
て医院の収入や院長の「碇定申告書」を見せて経営の苦しさを説明しても、スタッフとしてど
こまで理解できるが疑問です。経営内容を公表してガラス張りにしても、その内容について理
解できないと院長の一人相撲になりますし、理解しても納得するかどうかは疑問です。口で言
わなくても専従者給与が高遇ぎるのではないかという疑問をもつこともあり得るからです。最
終的には少数精鋭で、本当に優秀で能力を伸ばしていく人材には、少しずつでも昇給せざるを
えないでしょう。