根管治療によるトラブル

根管治療
処置内容
根管治療によるトラブル
根管治療によるトラブル 【機械的清掃】
リーマやファイルで機械的に腐敗した歯髄腔を拡大・清掃します。
この操作が治療の決め手!
根管治療によるトラブル
【根管充填】
清掃された根管腔に再び汚物が貯留しないように(レントゲンで確認の上)綿密に封鎖します。
親和性の良いとされるガッタパーチャー(ゴム様)とシーラー(セメント様)を用いて、いかに根尖部分を綿密に封鎖するかがポイント。

根管治療のポイントは、根管内に貯留した汚物(汚物となり得る神経組織などの有機質)を 完全に除去して、除去したあとの空間(歯髄腔)に二度と汚物(血液などが隙間から入り込む と腐敗して汚物となる)が入り込まないよう完全密封(根管充填)することです。

    トラブルとなる原因を順追って整理してみます。
  1. 機械的清掃の段階で神経のとり残しや過去の腐敗した充填物のとり残し。
  2. それを補うために化学的清掃を行ないますが、この時使う薬剤がキッチンハイターやブリー チと同じ漂白剤ですので周囲の骨組織に与えるダメージが問題です。おまけに化学的清掃はほと んど清掃の役目を果たさないので、機械的清掃をおろそかにする口実となっているようです。
  3. 根管貼薬は炎症の原因となる細菌を殺す目的で行なわれますが、これも殺菌力が強いとし てもホルマリンを主体としたキツイ薬剤を使いますので周囲の骨組織に相当なダメージを与えて いるように思います。また、アレルギー症状の原因にもなっているようです。これらの薬剤が 治癒を遅らせている可能性も十分考えられます。
  4. 化学的清掃や根管貼薬に頼るあまり腐敗物の機械的清掃がおろそかになって、いつまでも 経過が良くないというのが代表的なトラブルです。
  5. 次に考えられるのが、機械的清掃に使うリーマなどの金属器具の破折です。破折した位置 にもよりますが、細い根管の先端部分で破折した金属片はほとんど除去することが不可能です。 破折を医療ミスと考えられがちですが、細く曲がった根管形態を考えれば確率数%程度の破折 は現状の方法しかない現代歯科治療ではやむを得ないものと考えております。
     問題はその時の考え方と対処だと思います。金属が折れるほどの細い管ですので、残存腐敗 物の量も少ないと考えられますのでそのまま放置しておいても全くトラブルを生じないか、あ っても緩やかな炎症の進展です。軽い違和感程度の後遺症であれば、それを許容して付き合う しかないと考えるべきでしょう。それをヤッキになって先ほどの有害とも思える貼薬を続ける ものですので、かえって症状を呼び起こしているケースを多く見受けます。
  6. 虫歯が深いとか破折した金属片をとるために、また歪な形態をした根管であるがために、 関係のない場所に穴を開けてしまった(穿孔)場合や歯根に亀裂がある場合の対処にも問題 があります。この場合には、汚物が存在しないと考えられますので、閉鎖できる状態にある 場合には速やかに閉鎖して二度と汚物が貯留しないようにしてやるのが適切な対処です。 それに対しても、殺菌という名目で見込みのない有害な貼薬を繰り返して何時までも治らない というケースを多く見かけます。

 根管治療のトラブルはおそらく以上のどれかに属するものと思われます。あなたの原因が どれであるかは、実際に診て、治療してみないとどれが原因であるかは分かりません。