【リーマの破折】 リーマの破折だけなら症状もなく長年機能。これに穿孔や亀裂が加わると再起不能 |
【リーマの破折】 破折したリーマを取るために穿孔? 穿孔部が2箇所もあるので近心根はヘミセクション |
歯根弯曲が著しい場合や加齢に伴う根管閉鎖によりリーマが挿入できないことがあります。
また例え細いリーマが挿入できたとしても破折などにより根管治療ができないこともあります。
そのようなケースに対する考え方や対処について解説いたします。
あとあと問題になる根尖病巣は、あくまでも根管内に残った神経組織など有機質が腐敗して
起こる根尖部の炎症です。弯曲・閉鎖・リーマ破折、何れの場合も残存する有機質が少なく
生体に対する異物性も少ないと考えられます。将来炎症を起こすとしても異物性が低いために
病巣の成長は緩慢で、急激な炎症を起こす可能性が低いと考えられます。根管治療が可能な
部位については適切な治療を行なったのちは“使えるところまで”という割り切った考え方
が必要です。問題がこれだけであれば20年近く症状をみることなく機能するケースもあります
し、生体の免疫抵抗力が高ければこれをカバーしてくれる可能性もあります。
腐敗物が根管内に残留したとはいえ非常に細い管ですので、水道管に錆びが溜まって閉鎖
してしまうように細い管の中に石灰沈着や第二象牙質の成長により自然閉鎖することがあり
ます。“臭いものに蓋”式に腐敗物を閉じ込めてしまう生体の防御システムです。いい加減な
根管治療であっても結構半分以上がこの防御システムによって救われていることをご存知ない
かも知れませんが、意外と多いことには驚きです。
執拗に深追いすると、穿孔させたり他の根管治療がおろそかになって全てを失ってしまう
可能性が高いので、適当なところで見切りをつけることが大切です。