「情報とリスクの共有」

Quintessence Mail News『クイント』第20号 掲載 2001年5月23日発行
歯科医療関係者へクイントが最新情報を配信するメール マガジン


コンピュータ  「歯科のことは分からないから、先生にお任せします」というのが従来の歯科治療でした。任され た方としては多くの場合、学術的な知識と色々な経験の中から“無難な選択”を治療として提供して きました。「確率は低いがファーストチョイスとしてこの方法を試みて、ダメだったら次の方法に切り 替えよう」
 自分、もしくは歯科知識のある同業者の治療をするときには、確率の低さやリスクが十分理解で きていますので治療方針が異なるケースがあります。歯科知識のない患者さんに任せられた場合 は、思惑の結果がでなければ不信の原因になったりいろいろと言い訳がましい説明をしなくてはい けません。
 インターネットの普及により患者さんもドクター同様に、分野によってはドクター以上の専門的な 知識と経験を手に入れることのできる時代になってきました。「今までの治療は何だったんだ」とい う医療不信の声も多く聞かれます。過渡的な傾向として、医療従事者にとって好ましくない事態も 数多く想定されますが、その先には必ず治療に対する知識を習得された患者さんが増えてきま す。情報を隠してごまかす時代から、情報を公開してリスクを共有できる治療が可能な時代に移 行しています。
 ホームページを持つことは、単に自らの情報を発信するだけでなく、患者さんのニーズを把握して 対策を講じるためにも重要なことだと思います。