健 康 管 理 デンタルダイヤモンド 1998年3月号(通巻309号) 23(3):83
私のストレス解消&リフレッシュ法
やすらぎを求めて
診療を終え、1日を振り返りながら反省するとともに問題解決の方法を模索する、
これが私の日課です。このとき肉体的な疲労はピークに達しています。それでも患者さんにとって、
また私にとっても納得のいく良質の治療とコミュニケーションが計られた日は、充実感があり
ストレスを感じることはありません。
患者さんとのトラブルや診療の停滞は治療を行う者にとっては最大のストレスと感じているからです。
そのストレスから回避するために、患者さんとのコミュニケーションや診療をいかに効率よく
計るかとを常に模索しているのですが、皮肉なことにこの模索が私にとっては結構なストレスに
なっているようです。
高度でより良質の治療やスムーズなコミュニケーションを計るには膨大な仕事量を必要とします。
レセプトをはじめ期限の決められた提出書類や学会などのスケジュールを組み込むとのんびり
している暇などありません。このときは、宴会や釣りの予定ですらプレッシャーに感じられてきます。
さっそくコンピュータに向かいながら仕事の処理を開始しています。私のように仕事を抱え込む
タイプの人間にとって、仕事を処理することがストレス解消だからです。
コンピュータとのつき合いはせいぜい5年ほどですが、ワープロからのつき合いを含めると
もう10年近くになります。それまで山積みされた懸案が、このパートナーのおかげで次々と
解消されていきました。膨大な仕事量を処理する道具として、コンピュータは有能で充実した
機能を有しています。
しかし、コンピュータにも欠点があります。思うように動いてくれなかったり、性能の向上に
ついていくためにはかなりの時間を費やさなければなりません。コンピュータを駆使するために
新たな仕事を抱え込む結果となり、つくづく仕事人間である自分を思い知らされるようです。
幸いなことに、日進月歩のコンピュータは私にとってストレスとはなりません。私の所属する
コンピュータ研究会での会話や体験が問題を早期に解決してくれ、しかもレベルの向上を助けて
くれるからです。円滑なコミュニケーションから生まれる会話が、技術の向上と夢を与えてくれます。
どこまで行っても仕事人間の私にとって、“釣り”はとっておきのリフレッシュ法だと思います。
釣り歴は長く、子供の頃からですので40年近くになります。数々の釣り歴を経てたどり着いたのが
瀬戸内の鯛釣りです。今でこそ年に数回出かける程度ですが、一時は、釣り船も持っていたほどの
釣りキチでした。かつては1匹でも多くの魚を釣るために貪欲に釣り続けていた私も、
今は悟りの境地に近いものがあります。
お刺身クラス(30センチ以上)の魚が釣れると、あとは舟の上で宴会気分になってしまいます。
お酒を片手に会話がはずんで、もう釣りどころではありません。
普段の生活とは全く無縁の時間が流れているようです。この時の流れこそが貴重なリフレッシュ
タイムではありますが、それを演出しているのも人とのコミュニケーションです。
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信頼関係の構築 |
肉体の健康は「高栄養・高蛋白」と勝手な解釈をする私ですが、やはり健全な魂があってこその
健康だと思います。他人との関わりを捨てることのできないこの社会では、より良い人間関係の
構築とコミュニケーションの存在が心のやすらぎを生むのではないでしょうか。
1998年3月1日