あなたは一生「自分の歯」で食べられますか?
かしこい歯医者のかかり方

はじめに

 生涯自分の歯で食事をしたいと願わない人はいないと思います。できることならば、あの 忌まわしい歯科治療を受けることなく、何でも噛めたあの若い頃の歯をそっくりそのまま人 生の終焉まで持ち越したいと願い、多くの人が歯ブラシをはじめとした歯のケアグッズの効 果を信じて奔走されていることと思います。

 ところが、歯医者との関わりあいということになると、未だ多くの方に正しくご理解いた だけているようには思えません。歯医者、歯科治療に対する誤解も案外多く、誤解に基づく 批判や拒否も見受けられるというのが現状のようです。

日頃のブラッシングをいかに丁寧に行おうと、歯槽膿漏、虫歯は着実に歯を冒し始めます。 何かがおかしいと気になり始めたときにはもう既に手遅れな末期症状なのです。末期になっ て初めて歯医者に訪れ、予想もしなかったような重い治療にショックを受ける。予期せぬ治 療、さらに思わしくない予後にますます歯医者に対する不信感が募る。これがいままでの一 般的な歯医者利用法でしょうか。こんな今まで通りの歯医者の利用法では、歯を守ることは できません。歯医者の得意な分野を利用せずに、現段階では歯医者の管轄外とも言える末期 症状からの回復を期待されているからです。

生涯気持ちよく自分の歯を使い続けたい、この万人の願いを叶えるには、一体どうすればよ いのでしょうか。本書では、その夢を叶えるために大きな鍵を握っている、歯の二大疾患歯 槽膿漏、虫歯のコントロールを中心に、歯科治療の現状、また歯科治療を受けるにあたって の基本知識などを紹介しました。また、一体どのように歯医者を利用するのが賢明であるの か?これは本書のテーマの一つであります。

本書が、一人でも多くの方にとって、歯槽膿漏、歯医者に対する認識を改め、ご自身の歯を 守るということを真剣に考える一機会となれれば幸いです。