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河 田 克 之 |
近年、カルテやレセプトの情報公開を求める動きが強まっています。これは医療に対する信頼の
失墜が根本的な原因だと思います。これまで、プライバシーの保護を盾に公開を拒んできましたが、
実際には公開されると都合の悪いことが多いのが本音ではないでしょうか。
確かに"告知"の問題など克服しなければならない障害があることも事実です。乱れた文字や誤字も
その一つですが、記載不備や実体との隔壁が最大の理由です。それらに自信があれば進んで公開に
応じるべきですし、自信がなくても信頼を回復するためにも公開して非を正すべき努力をしなくて
はなりません。
私の医院での実体を振り返ってみると、カルテはコンピュータを駆使して非常に能率よく書けて
いますし、指定された内容はほとんど網羅しており、かなり完璧に近いと思っています。
勿論、コンピュータのことですから、誤字もなく書体を恥じることもありません。
カルテの記載要項に沿って、あらゆる情報をカルテに記載していますので効率の良い診療と
患者さんとのコミュニケーションを図ることも可能です。ところが、これだけのカルテを書く
ためには、1時間の治療時間のうち極端な場合30分も時間を費やしていることもしばしばです。
1初診1回とか年齢や歯数による点数の違いなどは、コンピュータが即時にチェックし自動的に
変換してくれますが、6人もいる衛生士の誰が・何時から・どんな内容の指導をしたとか、
義歯の装着日はいつで調整は何回目で以前に修理の経歴があるかなどを調べて記載するのは
大変な苦労です。
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例えば、歯肉を切除し根面形成を行って、コアーの印象を採り、
TEKを作った場合。しかも、ブリッジを予定して数本の歯を処置した場合には、確実に
1時間程度の時間を要します。それが再診料の36点だけでは、支払いする患者さんも不信に思います。
おまけに、次回コアーセットしてTEKを作り直しても1時間もかからないのに請求は1万円以上
になると患者さんの不信は頂点に達してしまいます。このような不信を招く療養規則の改正を
すみやかに行っていただきたいと思います。
歯種 | 3割負担 |
前歯・乳歯 | 約 ¥ 800 |
臼歯 | 約 ¥1000 |
難抜歯 | 約 ¥2000 |
水平埋伏智歯 | 約 ¥4000 |
一言:
普通抜歯と難抜歯のあいだには明確な線引きがありませんので、歯の状態や医院によって
バラツキがあります。それにしても抜歯でけでは¥3000の差は生じないはずです。初診料や
初診時の歯周疾患検査などが含まれるとそれくらいの差が生じるかもしれません。
歯科における情報公開をどう考えるか
ご意見・ご感想:
情報化のご時世、情報を公開し評価しあう制度は重要だと思います。
それとは別に、この文章を見て少し…コンピュータだと誤字はないとありましたが、このサイト内
のページでも誤変換がいくつか見られました。情報関係の専門家としてあえて、コンピュータを過
信するのは危険だと忠告しておきたいと思います。
あと診療規則による不信に関して、診療規則による治療費請求がどのようなものであるかという、
患者への告知が出来ていれば良いことなのでは?「今回はこの程度の診察料ですが、次回には
このようなことをしますので、時間はかかりませんが1万円ほどかかります」のように見積もりを出
していただければ、診察時間と料金の間での単純比較で、診察に不信を抱くことはなくなると思う
のですが…もっとも、診療規則は他の点でもいろいろと不満の多いもののようですね。
メールアドレス: vep04453@nifty.com
ホームページURL:
一言:
コンピュータの利便性については、一言では言い尽くせない“光と影”があります。
今まで、到底できなかったことがいとも簡単に・能率良くできる反面、今までの手法では起こりえな
いミスもあることは間違いありません。誤字を含めて、そのようなマイナス点はある程度、今後技術
がカバーしてくれるものと思います。
“1万円ほどかかります”という一言のためにかつての手法だとどれくらいの時間がかかるか。
手間がかかりすぎて何も言えなかったことが、コンピュータのおかげで簡単に言えるようになる事
を重視したいと思います。
ご要望:
とにかく、インフォームドコンセントはして欲しいです。何をされているのかわからない
「まな板の上の鯉」状態ですから。
その上に、毎回わけのわからない料金を取られる…。今通っているていでところは、先生との
会話はほとんどありません。どうやって診断しているのでしょう。どんな治療をされたのかも、
次回どんな方針で予定されているのかも、全くわかりません。おまけに、領収書を貰えません。
カルテやレセプトの開示、ぜひ標準化して欲しいです。他の医院に移ったときにも、説明しやす
いですし。
せめて、インフォームドコンセントがしっかりなされていれば、こちらも納得行くんですけれど…。
メールアドレス: pen-gin@mbd.sphere.ne.jp
ホームページURL:
感想(言い訳):
時間的余裕がないことや、インフォームド・コンセントに経済的保証がないこと、何にもまして
事前に全てを説明することは不可能です。あらゆる可能性がある段階では「この場合はこれ」
「この時にはこう」と説明するのはとてもしんどい!
治療をしてみたら全く異なった方向に進んでしまうこともあります。ある程度治療を進めて
結果を説明する方向だとかなり現実的です。
それともう一つ。「信頼関係の構築とは、医療技術の向上」だと思います。何の説明も無くっても、
治療したところが何の問題もなく速やかに改善すれば不信感は芽生えません。言い訳がましい
インフォームド・コンセントよりも適切な医療技術という側面もあるように思います。
反論じみたことを申し上げましたが、医療人にもっと患者さんのことを思う優しい気持ちが
育って欲しいと思います。可能な限り現状認識を共有して、良い結果を導き出す努力に欠けて
いる現状は双方にとってマイナスですね。