このコーナーでは、日常臨床で疑問に感じた事例を紹介します。

遠方からの来院
たかだか歯科治療…それなのに…


遠方からの来院  私の医院には、毎日の様に遠方からの患者さんがいらっしゃいます。京都や大阪からは毎日 です。東京や千葉県からでも、時には東北や九州からも珍しいことではありません。「信頼で きるから」「腕が良いから」と言えば自慢話になってしまいますが、膠原病みたいな難病なら いざ知らず、たかだか歯科治療如き疾患を治すためにわざわざ遠い所まで行かなくてはなたな いという現実に大きな問題があると思います。それも、根管治療といって歯の神経をとったあ との状態が悪いからとか、歯槽膿漏治療のように本来何処の医院でも行なっている治療のため に思いつめて遠方まで診療に行かなくてはならないという事態を全国の歯科医は謙虚に反省し なくてはいけないのではないでしょうか。
 根管治療や歯槽膿漏が治らない、姫路まで行けば何とかなるということは、全国で行なわれ ている治療に問題があるということです。その原因を一言で言うならば「炎症発生のメカニ ズムに対する認識が誤っている」ということです。

 どこの歯医者に行っても治らないということは国民にとって非常に気の毒なことですが、 このことは歯科医学界の根底をくつがえす問題で、今のところ議論さえされる見込みもあり ません。それならばせめて、そのような治療を受けなくても済むようにというのが私の願い です。方法としては、ただ単に毎月歯科医院に通って歯石をとるだけという簡単なこ とです。効果の程は歯槽膿漏が全く進行しないばかりか、虫歯の発生・進行まで抑制して、 神経をとるという事態に至ることはほとんど無くなってしまいます。問題の一つは、夢のよ うなこの事実を国民はおろか歯科医自身も知らないということです。
 根管治療や重症の歯槽膿漏治療が誤っていたとしても、それ以前の治療であればある程度 信頼できます。このような歯科医の利用方法を広めれば、歯科治療にまつわる不幸は最小限 に留まることでしょう。しかし、これを実践するためには厚生省を始めとした行政的な障害 がネックになっています。
 これらの問題を改善するために微力ながら日夜努力を重ねていますが、道が遠すぎる…。