歯科医性善説
話をすれば皆善人


歯科医性善説  利益率の高い治療を勧めるとか、インフォームド・コンセントが不十分といった非難が 歯科医に向けられていることは事実ですが、これは歯科医業に限らずあらゆる業種に共通 して言えることだと思います。だからといって不問に処す積りではありませんが、もう一歩 踏み込んで、歯科医本来の医療成績とか患者さんに対する思いやりという部分にスポットを あてて検証してみたいと思います。

 専門知識のない患者さんに代わって、病態を正しく判断して、最善と思われる治療方法を 選択して治療を施すことがプロフェッショナルとして求められる最大の条件です。この意味 において、ほとんどの歯科医が最大限の努力を払っているように思います。これは、私を含 めた歯科医同士の会話を聞いていて常に感じていることです。患者さんの不幸を願う歯科医 はまず居ないといっても過言ではないでしょう。
 ところが治療結果はというと、必ずしも思惑とおりにはいっていないことが多々見受けら れます。人間が行なうことですので手抜き・医療ミスといった類のものも見受けられますが、 大学で教わった通りとか、学会や保険規則で定められた通り行なっているにも関わらず結果 が得られていないというところに最大の問題が潜んでいると思います。

 その結果が顕著に現れる治療分野として、抜髄や感染根管治療、そして歯槽膿漏という歯科 治療で最も頻度の高い分野です。何れも炎症が如何なるメカニズムで発生し、治癒に導くため に何をするのが適切かが試される分野です。  炎症発生に細菌が関わっていることは万人の認める事実ですが、その炎症を抑えるために 細菌を撲滅するという発想が間違いの元だと思います。なぜならば、口腔内に発生する炎症 の原因となる細菌は、口腔内に常時生息している口腔内常在菌と呼ばれる雑菌にすぎないから です。普段悪さをしない雑菌が環境の変化に伴って炎症を起こすことを “日和見感染”といいます。日和見感染を治癒に導く最善 の方法は、感染を起こす原因となった環境を解除することこそ最善の治療方法だと確信してい ます。

 この誤った認識が、折角の善意を無にしているといっても決して過言ではないと思っています。

      2003.6.15.


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