一見説得力のある説明です。反面、何か言い訳がましい感じもします。確か私が大学時代、
「口腔粘膜と膣粘膜は強い」と教えられました。少々乱暴な扱いをして傷ついても大丈夫という
意味だったように記憶しています。確かに無数に細菌の生息している口腔内は食事のたびに傷つ
いたり、火傷をしたりで常に傷だらけなのに滅多に感染しません。今でこそ抗生物質投与が常識
になっていますが、抜歯に至っては歯肉の外傷のみならず骨が直接露出しているはずなのに薬を
飲まなくても通常感染を起こすことはありません。
少々乱暴に扱っても大丈夫という認識は私だけではないと思います。その反面、いくら消毒に
気を使っても治らない場合の言い訳が「歯は生体内で唯一、骨から直接体外に飛び出した臓器だ
から感染に対して弱い!」ということだと思います。
炎症を起こすには細菌の存在以外に大きな要素があります。それは生体が拒絶反応(免疫反応)
を起こすような異物の存在です。炎症を起こす異物が存在する歯をまるごと綺麗に抜いてしまえ
ば炎症を起こさないけれども、炎症を起こすべき異物を排除しないで治療行為を終えた場合に
はいつまでも炎症が治まらないという至極当たり前の結果が理解できないのが歯科の医療現場
のようです。
2004. 3. 7.