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問題は人工歯根と上部構造の接合部 |
インプラントの講習会では周知の事実ですが、一般に公表されることがないのでご存知
ない方がほとんどだと思います。過去にインプラントをされた方であれば、術後のレント
ゲンをみて「この骨破壊は生理的範囲だから心配ありません」と説明を受けたかもしれま
せん。
確かに現在の歯科医療技術ではやむを得ない結果なのかも知れませんが、私の見解は、
2mmほど破壊する仕掛けを作っているのだから当然の結果だと思っています。その仕掛け
とは、人工歯根と上部構造を繋ぐジョイント部分です。精密に勘合するように作られては
いますが、ジョイント部分は歯に例えていうならば歯根亀裂です。さすがに精密に作られ
ていますので亀裂部分に貯留する汚れが少ないためにせいぜい2mm範囲の骨を破壊する程
度が一応の限界のように思います。
1体型のインプラントであれば、ジョイント部分がないのでこのような弊害は起こりませ
んが、植立直後の外圧によりオステオインテグレーションを阻害して強固な骨癒着が期待
できません。その植立直後の外圧を回避するためにジョイント構造は有効な解決策だと
思います。しかし、審美的な要求と誤った発想からジョイント部分をできるだけ骨縁、もし
くは骨縁下に設定することが推奨されています。
理論的に言えば、骨縁上2mm以上上に設定すれば問題がないのにどうして亀裂を骨内に
設定するのか。これが歯科医学の限界というか愚かさだと思います。歯の亀裂にはバイ菌
が入るけれども、骨内に埋入された亀裂にはバイ菌が入らないという考えかも知れません。
炎症の原因をバイ菌の侵入に求める限り続く技術の限界です。
2004. 3. 7.