このコーナーでは、日常臨床と私生活を通して感じた事例を紹介します。

格好の比較
韓国

韓国  「日本の歯医者はどうして何回も通わなくちゃいけないのですか? それに保険証がないので 高いし…」と韓国女性かた飲み屋で言われて、思わず「そんなに困っているんだったら、とにか く診療室に来て。治療内容に関係なく、とにかく1回¥1000円でいいから」と酔った勢いで言っ たのがキッカケで何人かの韓国女性が次々に治療に来られたことがありました。「ウチの旦那さ んの歯も¥1000で診てくれますか」と言われてお断りしてからは縁が途切れてしまいましたが、 外国から来られた人にとって、歯の治療は悩みの種のようです。

 韓国の保険制度は日本と違って医療と歯科の初期治療は保険の対象になっているそうですが、 患者さんの負担が7割だそうです。それに、神経を取って被せるといった治療には保険が効か なく1本20万円ほどの治療費が必要だということです。年に1度は検診を受けるというような 風潮はなく、日本同様、ついつい手遅れ状態になってから歯医者にかけ込むことが多いとはいう ものの、日本人よりは口腔内状況が良いように思います。やはり銀歯が高いので、治療を敬遠し て抜歯を選択するケースが多いことや、自己防衛としての歯磨きが熱心なことが原因ではないか と分析しています。
 その彼女たちから見ても、日本人の歯は汚く見えると言います。「在日韓国人は?」と聞くと やはり日本人同様、汚く見えるということです。元々地域柄、在日韓国人が多い場所です。私か ら見ても在日韓国人って、外見もそうですが、口腔内の状態は日本人と全く同じと言っても過言 ではありません。

 食生活や習慣、そして民族によって口腔内の状況に違いが生じるとは思いますが、それよりも 保険制度や歯に対する価値観や手入れによって大きく変わるものだと実感しています。