保険の規則で定められた"入れ歯の調整"は非常に複雑で医療現場の実態と大きく異なります。
かつて(10年程前)は、何時・如何なる状況で調整しても120円(3割負担)でした。私歯科医から
みれば時間の割に採算の合わない場合が多くとても不満でした。それでも自分の作った入れ歯
だから仕方ないと半分あきらめながら調整したものでした。
最近の保険改正ではとんでもない料金の設定になっています。下手な入れ歯を作って、用もない
のにダラダラ調整すれば儲かる従来の方式を改めて、上手に作って少ない調整を推奨するといえば
非常に聞こえの良い改正です。最初の2回は200円、次の2回は120円、その後は60円、
一月の治療回数によっては0円(何れも3割負担)。古い入れ歯は60円。70歳以上は加算料金。
同じ処置をしてこれだけ費用が異なると、請求もし難いし、患者さんからの不信の声が気になります。
調整料金が安くなった代わりに、成功報酬?ともいえる高い報酬が半年後に設定されています。
入れ歯を作って半年後、幸いにも?患者さんがお見えになったら無条件に900円とか1500円が
いただけるのです。入れ歯の調整は安いと思っておられる患者さんにこの料金を上乗せしたら
ビックリします。
「治療したことはそのまま請求しなさい。その代わり治療していないことは絶対請求するな。」は
保険規則の根本です。私も当然その基本的理念には賛成します。
しかるに、同じことをしても治療費が異なるだけでなく、時として治療してもお金にならない…
治療しなくっても時が経てば請求できるような規則はとうてい受け入れることができません。
規則通りに患者さんに費用を請求すれば不信感が生まれること間違いなしです。