インフォームド・コンセントを要求する時代の流れは、われわれ医療従事者に無制限の負担を押しつけようとしている。従来型の対応では、すでに限界に達しているように思われる。 ザ・クインテッセンス 第17巻8号・1998年8月号,119-121 掲載
D D S   Dental Digital Software
バーコードを利用した電子カルテ・システム


河田 克之
河田歯科医院
連絡先:〒970-0961 兵庫県姫路市南畝町2−56
E-mail: kkdental@hips.or.jp URL: http://www.hips.or.jp/~kkdental

キーワード:インフォームドコンセント・カルテ・バーコード


  
図1.カルテの即時チェックと自動変換。
図2.バーコード表。
【はじめに】
 筆者が開業した17年前、歯科医院支援用コンピュータ・システム利用の利点として 「月々のリース料で人件費を1人分削減」といわれていたが、1人分の削減どころか コンピュータ専任の受付を置かなければならないのが実状であり、 さらに筆者はカルテを書く手間とコンピュータに入力する手間が同時に解消できるシステムで なければ真の省力化にはならないと考えていたため、当時はその導入を拒み続けていました。
 しかし、この問題をバーコードの応用という形で解決した現在使用している電子カルテ・ システム「歯峰」(以下、本システム)を5年前より利用しているので、本稿で紹介する。

【バーコード入力】
 歯科医師が記載することを前提に開発された本システムは、処置やメモ内容の記載の ほとんどをバーコードによって処理する。日付、年齢、歯数の管理はもとより、歯種によって 異なる点数や必要なメモ書きも一括して入力することが可能なため、カルテ記載の時間を 大幅に短縮することが可能である(図1)
 実際、筆者が記載したカルテをスタッフに「何も考えず、ただひたすら写すように」 と指示したところ、2倍の時間を要した。
 通常使う診療メモはすべてバーコード入力で行う(図2)。 しかし、メモ内容の追加や変更を行う場合には、キーボード操作を必要とする。 ただ、この追加や変更は直接カルテ画面上で入力するため、煩わしさは感じられない。
データの入力書式形式は、あらかじめ用意された文章以外に、医院の治療形態に即した自由な 記述の組み合わせが行え、また術者独自の文章やメモの作成が可能なため、カルテの カスタマイズが思いどおりに行える。

図3.歯牙ごとの診療記録。
図4.検査表とイラストの挿入。

【データ管理は完璧】
 リコール名簿の作成や処置・メモ内容からの検索などの機能が充実しており、 また患者構成や診療形態の把握が行えるように配慮されているため、経営管理の向上と 将来の予測を容易なものにしている。
 歯種ごとのデータ管理は、診療時のみならず、学会発表の手助けにもなる (図3)
 ただ、もっとも特筆すべきことは、少ない記憶容量(約200MB)ですべてのデータを記録し 管理できることである。

【検査表とイラストの挿入】
 あとから見て見やすいカルテは診療の効率化につながる。とくに、歯周疾患治療を 推進するにあたっては、検査結果と処置内容の流れや因果関係を十分把握することが大切であり、 それを短い診療時間のなかで効率よく把握するためには、やはり1枚のカルテにすべて記載され ているのが理想と考えている。
 手書きカルテでも検査表を貼るなどして対応されている先生方も多いと思われるが、 それと同様の感覚で検査表や手術時のイラストを挿入することができる(図4)。 検査と処置、指導内容と経時的変化を瞬時に把握して対応することが信頼できる治療の第1歩 ではないかと考えており、本システムはそのためのさまざまな工夫がなされている。
本システムは、イラストの種類や大きさは自由に調整することができないため、使用にあたって 若干の制限がある。また、画像処理には対応していないため、今後の対応が望まれる。

図5.説明書の発行は、カルテ画面から
   キーボード操作で行う。
歯峰 一郎 様

初めて受診される方に
歯は大切な宝物、失って初めて分かる高価な代償!

歯の大切さは誰でも分かっているが、案外知られていないのがその手入れの仕方です。朝晩の歯磨き、食後の歯磨き、早めの治療。これらは誰もが知っているはずなのに結局、50〜60歳になると「歯槽膿漏です、諦めて下さい。」の言葉とともにこの世から抹消されてしまいます。 うっとおしい歯なんてなくっても入れ歯がある・・・人工歯根もある・・・は大きな誤り、いくら手間、暇、お金をかけても天然の歯にはかないません。 今あるその歯を大切にしてください。物が噛めなくなって健康を損なう前に優しく労ってあげましょう。

平成10年6月17日
兵庫県姫路市南畝町2-56
TEL 0792-88-4682

図6.氏名と日付の記入された説明書は、
   説得力がある。
【インフォームド・コンセント】
 ドクターが理想とする治療を行うためには、患者の理解と協力が必要になる。 抜歯後や義歯装着時に注意書きなどを渡すのは一般的な手段だが、これを抜髄後や 根管治療時などの診療行為ごとに渡すことだけでも治療後の心配を軽減し患者の苦痛を 和らげることに、かなり役立つ。
 また同様に、将来行う予定の治療内容やその必然性を記載した説明書を、患者の氏名や 日付の記入された文章の形で渡すことも重要と考えている。
 説明用の文章は100項目以上登録できるため、よく聞かれる質問や医院の治療方針、 さらに紹介状や診断書などはあらかじめ作成しておき、必要なときに随時発行すれば、 診療の効率化とともにインフォームド・コンセントの手助けとして大きく貢献できる (図5.6)
 また、スタッフが説明書を手渡す際にさまざまな補足を行い、そこから新たな会話が生まれ、 これにより患者さんの十分な理解が得られると同時に、スタッフ教育のテキストとしても十分な 威力を発揮する。

【まとめ】
 昨今の保険改正により、歯数、年齢、期間などさまざまな規制が生じた結果、 膨大な事務処理能力を必要とするようになった。また、インフォームド・コンセントを 要求する時代の流れは、われわれ医療従事者に無制限の負担を押しつけようとしている。 従来型の対応では、すでに限界に達しているように思われる。レセプト発行、カルテ作成、 インフォームド・コンセントを一括して支援するシステムこそよきパートナーになりうると 確信している。

   
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