痛みは様々な要因によって生じる感覚で、侵害刺激(体性感覚神経)と傷害による内因性発痛
物質とに分けられます。
体性感覚神経には、自由神経週末によって不特定多数の受容により素早く伝達される温度覚や
痛覚のような表在性感覚と、パチニマイスナー小体によって受容され伝達に少し時間のかかる触
圧覚・振動覚・位置覚のような深部感覚や固有感覚があります。
痛覚には専用の神経がありますが、表在・深部感覚神経はオーバーシュートして全ての感覚を
痛みとして感じてしまいます。
一方傷害による内因性発痛物質は、組織が傷害されることで顆粒球によるプラズマキニン・k+・
セロトニンやヒスタミンといった内因性発痛物質産生が促されて多種侵害受容繊維を興奮させて
生じる炎症性の痛みです。
プラズマキニンの一つであるブラジキニンは発痛作用以外に、血管拡張作用や毛細管透過性亢進
作用による発熱・発赤・腫脹・疼痛にも関与しています。また、プロスタグランジンE2(PGE2,PGI2)
は組織が傷害されて、ホスキリパーゼA2が活性化することで細胞膜のリン脂質からアラキド酸が
遊離されアラキド酸カスケードが産生されます。これらには、直接発痛作用はありませんが、
ブラジキニンやセロトニンの作用を増強します。
鎮痛剤として有名なアスピリンは、アラキド酸カスケードの反応促進酵素であるクロオキシゲ
ナーゼを阻害します。