治療中の歯に関して、「この歯大丈夫でしょうか?」と聞かれることがよくあります。
自分の歯に関して心配される患者さんの気持ちはよく解りますが、アバウトな性格のくせに
正確な表現にこだわる私にはとても困った質問です。
治る見込みがあるから治療しているわけですが、特に可能性を極限まで追求する私の治療方針では、
100%治る見込みは絶対ありません。自分ではまだ大丈夫と思っている歯ですら簡単に抜かれる
このご時世に、ご自身ですら不安に思われる歯が100%治癒するはずがありません。
可能性を追求すると言えば聞こえは良い様ですが、追求すればするほど失敗は付き物です。
失敗を恐れることは、可能性の放棄です。90%以上の成功率を信じて治療を続けて下さい。
「○○の病気がありますが治療を受けて大丈夫でしょうか?」これも同様に困った質問です。
正常な人でも何が起こるか分からない歯科治療です(0.1%以下)。健康に問題のある人は必ず
危険率が上がります。歯科医院まで来て治療を受ける気力のある人ですから、健常人と
大差はないと思いますが、改めて聞かれると返答に困ります。
「駅の階段を一気に上って絶対大丈夫でしょうか」と質問されて「大丈夫」と答えられるでしょうか。
階段ならゆっくり上って下さいとも言えますが、常に安全を考慮した治療を心掛けるものにとって
これ以上の安全策はありません。
何れの質問についても、大丈夫だろうと自信は持っておりますが、わずかでも失敗のある事実や、
わずかでも危険率の上がる事実を知っている私には安易にお答え出来ない質問です。
「絶対大丈夫」と答えられなくて申し訳ありません。