普通人間の歯は、15歳迄頃に上下28本の歯が生え揃い20歳頃、更にその奥に
1本づつ計4本の歯が生えます。この後から生えてくる歯を親知らずと呼びますが、
萌出時や萌出後も痛みの原因となる以外に様々な障害をもたらす歯として非常に厄介な存在です。
顎の発達していた原始の時代には、後から生えてくるスペアの歯として重要な存在価値が
あった様ですが、顎が退化した現代人にはまともに生える場所も無く、歯そのものが無い人も多く、
仮にあっても生涯萌出しない事もあります。
もともと退化傾向の歯で歯質が弱い上に、不潔になり易い場所にある為、ムシ歯になり易く
通常萌出後5〜6年で大ムシ歯になってしまいます。「親知らず」は場所的にも構造的にも治療は
困難で、障害が発生した場合通常抜歯になるケースがほとんどですが、障害がでるまで
放置しておくと必ず手前の大事な歯まで巻き添えにしてしまいます。頭痛、肩こり、開口障害等も
智歯による障害の一つです。
親知らずと言えども大事な歯、それに抜く時の恐怖を考えると諦めがつくまで抜きたくないのが
人情でしょう。1本でも歯が多い方が徳なようでもあるし、親知らずが残っていた為に入れ歯に
ならなくて済んだ話を聞くとなおさらですね。ところが、若い頃に親知らずを抜いてちゃんと
手入れをしておけば、手前の大事な歯を抜かずに済んだなんてことはしょっちゅうです。
親知らずは抜く! でもそれ以外の歯は1本たりとも抜かない努力をする。これが私の医院の
基本的な方針です。キッチリしたムシ歯の治療、月に1度の定期検診とスケーリング。
これが歯を長持ちさせるコツです。