【質問】
「学生の頃から歯ぎしりがあり、特に深酒すると深く寝込んできつい歯ぎしりを繰り返している
ようです。歯質が弱くて虫歯も多いので、早く治療できる方法を教えてください」(29歳・男性)
【回答】
周りの人に迷惑なだけではなく、「朝起きたらアゴがだるい」とか「肩こりがヒドイ」といった
症状や特定の歯を喪失の危機に追い込むのが歯ぎしりです。
ものを噛むとき、歯は垂直に動いているわけではありません。牛が草を食べている姿を想像
してください。斜め下から円を描くような下あごの動きが思い浮かぶでしょう。人間も同じよう
な動きで食事をしています。
歯はものを噛むのに都合が良いように、尖った部分とくぼんだ部分があって、まず尖ったと
こころどうしが当たって滑るような感じで、くぼみに移動していきます。その滑りを阻害するよ
うな部分があれば、「もっと気持ちよく食事をしたい」という無意識の欲望が眠っているあいだ
に現れて、"滑りを阻害している部分をすり減らそう"とするのが歯ぎしりです。
歯ぎしりのヒドイ人の歯を診ると、ファセットと呼ばれる磨耗部分を見つけることができます。
このファセットを削る、あるいは軽く研磨することにより症状は緩和します。状況の変化を観察
しながら少しずつ削るのがコツです。あまり過度な削合は他の部分に新たな火種を作りますし,
顎関節症と呼ばれる困難な疾患になる恐れもあります。
また、ナイトガードと呼ばれるマウスピース様のものを装着して症状を緩和する方法もあります。
けんぽニュース '99 冬号(1999.10.発行)掲載
製作・梶@保健同人社