磨くのは3食後だが、寝る前が特に重要。水はつけてもつけなくてもいい。歯磨き剤を使うならほんの少し。泡がいっぱい出ればよく磨けていると思うのは勘違い。ただ、普段は磨き剤を使わない人も、たまには使って表面をこすらないと付着した汚れを落とせない。 ブラシを左右に細かく動かして磨く。1本の歯に最低10回は動かす。磨く力は軽く押さえる程度。はかりにブラシを当て200gになるくらい。音がするのは力の入れすぎ。最初は物足りないぐらいが良い。表面より歯の付け根を磨く。磨くのは弱めでも、うがいは雑菌を洗い流すため多く、強めに。 |
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※電動か“手動”か
電動歯ブラシが数多く出回っているが、多くの歯科医が勧めるのは「普通の歯ブラシに歯磨き剤を
つけず、手で動かして磨く」方法だ。
紀尾井町プラザ歯科(東京都千代田区)の歯科衛生士、園田佳苗さんは、「最低2種類のブラシが
必要」と話す。ごく普通の歯ブラシと、歯科用ブラシか糸ようじ(フロス)だ。ブラシ部分の長さはやや
小さめが良い。硬さは好みでいいが、「普通からやわらかめ」がお勧め。「硬いと歯を傷つけてしまう」
からだ。
せん抜きを小型にしたような舌を磨くブラシもあればなお良し。舌の表面につく舌苔(ぜったい)は
口臭の元で、これを取り除くためだ。
さて、電動ブラシだが、値段は2・3千円から1万円以上のものまでさまざま。兵庫県姫路市の歯科
医 河田克之さんは、「どれでもそれなりの効果はあるでしょう。でも続けることが難しい」と、その
効用についてはやや否定的だ。
河田さんはインターネットのホームページ「河田歯科医院」で、3年間にわたり歯と歯科治療に関す
る「Q&A}を掲載し、歯ブラシに関する質問にも数多く答えている。河田さんによると、手で完璧に磨
く人でも85%。「ごく普通の人の場合は20%程度」という。電動歯ブラシを使って上がる除去率は数%
にすぎず「その程度なら、どれを選んでも経済力と趣味の世界」と言い切る。
それよりも「定期的に歯科医から歯石をとってもらう方が歯槽膿漏予防に効果的」と話す。
※新式いろいろ
その他の“新式ブラシ”をみてみよう。河田さんが「試しに使っている」のはイオン式。歯垢は電気の
力で歯についており、マイナスイオンを帯びた歯ブラシを使うことで歯垢と歯の結合を弱め、取りやす
くするという原理だ。だが、河田さんによると「すごい効果も悪影響もないそうだ」
水の勢いで洗浄する商品については、園田さんは歯ぐきのマッサージや歯間の汚れを洗い落とす
効果はあるというが「あくまでも歯ブラシの補助器具」と位置付ける。
※音波と超音波
また最近、電動歯ブラシにも、付加価値の付いた歯ブラシが出てきた。音波ブラシや超音波ブラシ。
東京都内の雑貨店・東急ハンズ渋谷店は「歯医者さんの勧めもあり、普通の電動歯ブラシの2、3倍
の売れ行き」と話す。
音波ブラシを販売している「ヨシダ」によると、毛先が高速で振動し、発生する気泡で細菌の繊毛を
破壊する。繊毛は細菌が歯に付着するために必要だから、繊毛を破壊されると歯から菌が離れる
仕組みだ。ブラシが当たらない場所へも気泡が飛ぶため、これまで汚れが落ちにくかった場所の
歯垢も除去できるという。
超音波ブラシは、販売元の東レアリーブによると、160万ヘルツの超音波が歯垢を取り除き、毛先
の届かない場所の細菌まで破壊する。従来の電動ブラシと違い、ブラシヘッドが回転振動しない。
だから、食カスを落とすためには、手動ブラシと同じように動かさなくてはならない。この、超音波に
ついては、複数の歯科医が「けっこういい」と勧める。ただ、音波も超音波も価格が2万円近い。
新常用歯科辞典 (医歯薬出版) より