要するにインプラント体の表面を凸凹にして表面積を増やせば、長さが1/3でも同じ維持力
を発揮しますという発想です。この考え方は、エンドポア インプラントに限らず歯科界では
無条件に支持されている考え方です。
物理工学的には正しい理論かも知れませんが、生体を扱う医学の分野では誤った発想だと私
は思います。生体が異物である移植物を受け入れて一体となって強力に接合するか、異物と認
識して排除するかは移植物の親和性に依存しています。金が移植に適さないのはチタンに比べ
て親和性が劣るからに他なりません。元来親和性の良い自らの歯が歯槽膿漏に罹患して、異物
と認識されて排除されるのは歯根表面に付着した汚れが異物となり歯槽骨の破壊を招くからで
す。
歯を支える歯槽骨と強力に接着するかどうかは親和性の良さに比例する生体のメカニズムを
無視して、いたずらに表面積を大きくすれば汚れの貯留を増大して親和性を大きく損ないます。
その結果、異物と認識されて排除されるであろうことは容易に想像できます。歯科医学界が生
体の摂理を無視して、物理工学的理論に追従することは愚かさの象徴以外の何物でもないと心
を痛めております。