さまざまな要因に対して,自らの恒常性を維持するための生体の機構を、生体防御機
構といいます。要因には病原微生物などの生物的外因、放射線などの物理的外因,毒物
などの化学的外因,腫瘍細胞などの内因があげられます。ただし狭い意味では、,生物
的外因から生体を防御する機構のことだけを指して生体防御機構といいます。
生体防御機構は、国でいえば国防機構、即ち軍隊です。軍隊には、陸・海・空、と3
軍が有る様に、免疫機構にも、細胞免疫と液性免疫が有ります。細胞免疫はNK細胞、
マクロファージ、一方、液性免疫はリンパ球のT細胞、B細胞です。
細胞免疫は単独行動をとりますが、液性免疫は司令官の元、集団で行動します。この
司令官に相当するのが、ヘルパーT細胞です。
外から病原菌(抗原)が侵入した場合、ヘルパーT細胞の指示の元、迎撃部隊として
兵隊としての抗体を大量に造ります。これを抗原抗体反応と呼びます。免疫は一度侵入
した抗原を記憶していて、再度同じ抗原が侵入した場合、素早く抗体を大量生産します。
言わば特定の敵に対する専用部隊です。従って同じ抗原が侵入しても症状は軽くて済み
ます。
外から侵入した敵でなく、自分自身を標的として攻撃してしまう場合が有ります。こ
れがアレルギー反応と自己免疫疾患です。アレルギーは特定の食べ物や空気中に含まれ
るダニや花粉等が抗原となって、これに過剰反応してしまいます。このアレルギーの原
因となる抗原の事をアレルゲンと呼びます。一方、自己免疫疾患は自己か非自己かの判
定がおかしくなり、自分自身を攻撃する抗体が出来てしまいます。自己抗原に対する自
己抗体です。