歯槽膿漏 | あんなもん、何したって治るはずない せめて50まで保たせたら“御の字”やでー 苦労してブラッシング指導しても、ちょっと良くなったら来なくなるし… |
根管治療 | 細くて曲がった根管がある上に、患者は大きな口を開けてくれないからまともな根管治療が
できるはずない。 患者は、神経取ったら一生使えるくらいの積りやもんなぁ せめて5年保ってくれたら患者も納得するやろー |
虫歯 | ちょっと大きい虫歯治したら、後が滲みると文句言われるし… 小さな虫歯治すの得意やけど「関係ないとこ削った」みたいな目で見られるし… |
身勝手な歯科医の一方的な発言かもしれませんが、何といっても実際に治療にあたっている
専門家の意見ですので現実の歯科医療レベルを認識する上で注目に値します。現実を正しく
認識すれば、おのずと正しい利用方法とか治療に臨む心構えが導きだされてきます。
要約すれば、歯槽膿漏の末期や神経を取らなくてはいけないような末期の虫歯は、多少の
延命がやっとなのに、歯医者が治してくれると信じて受診されています。結果、期待は
見事に裏切られて歯科医および歯科治療に対する不信は募る一方です。
一方、歯医者が最も得意とし、絶大な治療効果の期待できる歯槽膿漏のコントロールや虫歯
の初期治療に対する正しい理解がないために治療を敬遠されているようです。「痛くもない歯
を治療されて痛くなった」という不信感が最も多い理由だと思います。治療後痛くなるにはそ
れなりの理由があります。治療する歯科医はそんなこと百も承知していますし、できるだけ
痛みがでないように最大限の配慮はしているはずです。それでも実際に痛みを伴うことがある
のも事実です。
極論かもしれませんが、「ちょっとくらい痛い思いをさせたって、それに見合う以上の効果
が期待できる」ことを確信しています。歯槽膿漏にしても虫歯にしても歯によって進行程度は
まちまちです。自然治癒の全く期待できない歯科領域では、放置しておくと数年後には必ず全
てが取り返しのつかない状況に追い込まれることは必然です。例えばそんな歯が10本あった
として治療したとします。その内8〜9本は見事な治療効果が期待できます。痛みのでた1〜
2本は結果としてすでに治療限界を超えていたことになります。治療限界を的確に事前把握する
ことは不可能ですし、仮に安全圏を設定したのでは救える歯も救えません。しかも結果として
治療限界を超えていた歯は、そのまま放置しておいても遠からず同じ運命をたどることになりま
す。
治療限界を超えてからの治療を最小限に食い止めるためにも、普段から疾患のコントロール
と検診を充実して“悪くなるに決っている歯”を永遠に保存することが最善の治療であり、
正しい歯医者の利用方法であることに目覚めてください。