日付、時間:Mon Jul 14 21:38:21 Japan 1997
発信地:大阪
氏名: yamaguti
職業:弁護士
年齢:37歳
性別:male
つい先日、歯科医院の医師の診療によって患者(3歳7ヶ月)が死亡したとの事件の相談が
ございました。
開口器を使用して約10分治療した後、開口器をはずすと、既に患者はぐったりとしており、
その後医師の連絡により大学病院に運ばれましたが脳死状態となっており約1週間後死亡しました。
解剖医師の診断では麻酔を使用していなかったとのことであり、やはり原因は開口器の使用方法に
問題があったのではないか、とのことであります。
既に医師会の理事者が交渉に仲介することとなっており保険関係の問題も発生しておりますが、 そもそも開口器というものはそれほど危険なものなのでしょうか。だれでもまさか歯科医師の 診療行為によって死亡事故が発生するとは予想しておらず、近隣地域では大変な噂になっております。 どうか、医師としてご教示くだされば幸いです。
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使用する側からすれば、ジャッキ状の物が確実で、歯科治療が容易になります。ただし、
通常金属製で患者さんにとって威圧感があると思います。
どちらを使用されたか不明ですが、いずれ、無理に大きく開口させた
場合、のどに圧迫感を生じます。
患者さんが協力的な場合は、治療中、頭を後ろにそらして大きく開口してくれますが、非協力的
または治療に対して恐怖心がある場合は頭を前にかがめて“拒否”の姿勢をとります。
大きく開口した状態で“拒否”の姿勢をとればのどに対する圧迫は一層強まり窒息状態になる
可能性もありますね。まして、患者さんがあばれたりするとスタッフ全員で押さえつけたりもします
ので、窮屈な姿勢を強要する形になって今回のような事態になったと想像できます。
(全て私の想像です。)
唾液や水がのどに詰まったのかも知れませんね。
事態を聞いてこのように思いますが、開口器で死に至るとは今まで思いもしませんでした。
私の狭い知識の範囲では、開口器の事故は知りませんでした。歯科での死亡事故は時々聞きます。
一番多いのが、麻酔によるアナフィラキシーショックでしょう。それと恐怖心からくる心臓負担。
心臓疾患のある人や高血圧の人は要注意ですね。
昨年7月に、開口器
による死亡事故のことでご質問を送らせていただいた弁護士です。たいへんご丁寧な
意見を返していただき、厚く御礼申し上げます。
事件はなんとか歯科医師会による仲介等もあり、裁判に至らずに和解で解決いたしました。
とりわけ、開口器の種類さえわからず、どのような文献が妥当な参考書類となるのか不明であった
だけに、先生のご助言に感謝しております。ただ、原告側としましては、いくら和解金をもらっても
3歳の子供の命は戻らず、今後の(とくに母親の)心のケアも大切な仕事だと思っています。
このたびの事件に関与しまして、歯科医師おひとりおひとりの技術ならびに知識については、
みなさんが日々の臨床や研究の中で研さんを積まれる努力をされていることはよくわかりました。
しかし、裁判所による証拠保全の手続等により、カルテが保全されてしまう前に、明らかにカルテの
改ざんがなされており、これには医師としての品位を疑いました。われわれ弁護士もそうですが、
社会的信用が重んじられる職業についておられるわけですから、やはり職業倫理の周知徹底に
つきましては、もっと歯科医師会等からのご配慮が必要なのではないかなと思う次第であります。
また、事件内容等詳細な点が参考となりましたら、メールにてご回答させていただきます。
とりいそぎ、上記ご報告かたがた御礼のみにて失礼いたします。益々の貴殿のご発展を祈念
いたしております。