抗生物質軟膏の注入により全ての症例が1〜3日以内に症状の劇的な改善をみます。
抜歯後6日

日付、時間:Thu Jun 15 0:22:30 Japan 2000    氏名: K.T   
所在都道府県:埼玉   職 業:会社員   年 齢:32歳      性別: female  

質問:
6/8に左下の親知らずを歯科大学病院(一般の歯科医院からの紹介)で抜歯しました。 事前診療時に担当医から
@完全埋没していて(おまけに後方に向いている)骨に接触しているので、骨を削ること
A抜歯するのに1時間位かかること
B神経も近くを走っているので顎に麻痺が起こる可能性があること
等を説明してもらいました。今までに何回も痛みと腫れに悩まされていたし、右下の親知らずを5年 程前に抜歯していたので、ある程度覚悟の上で今回の抜歯を決断しました。実際には、抜歯は20 分程で終了し、麻酔も前回に比べてさして苦痛を感じず、「なんだ、こんなものか。痛みも軽そうでよ かった。」とホッとしました。
ところが・・・・・。それからが大変でした。まず、抜歯後2日間は、食事や水は愚か唾を飲み込むのも 激しい苦痛でした。処方された抗生物質(バラシリン)を飲みきった頃(3日後)から何とか流動食程 度は口にすることができるようになりました。同時に頬の腫れと歯の痛みも和らいできました。その 後、歯自体の痛みよりも頭痛(特にこめかみと目頭)と耳の奥に激痛があり、処方された鎮痛剤(ボ ルタレン)を飲みきった後も、その痛みはますますひどくなりました。担当医に問い合わせた後に薬 局で市販されている鎮痛剤(イヴ)を飲みましたが、6時間程で効果が切れてしまい一向に改善され ませんでした。
6日後の今日、再診(抜糸も終了)をしてもらい、このホームページ上にもある「ドライソケット」では ないかと診断され、薬剤を塗り(注入という感じではありませんでした)、引き続き抗生物質・鎮痛剤 (最初のものと同じ)それに朝夕2回服用の鎮痛剤(ナイキサン)を処方されました。夕食後に後者 の鎮痛剤を服用してみましたが、症状はあまり改善されません。鎮痛剤を服用している間は痛みも 緩和されるのですが、食事後は咀嚼のためか顎からこめかみにかけての激痛が再来するし、鎮痛 剤が切れてくると耐えようのない頭痛・耳の奥からの激痛も再来します。口もティースプーンをどう にかこうにか差し入れる位しか開けられず、仕事と3才のギャングの子育てに追われる身としては、 いつまでこの状態が続くのかほとほと困っています。
@「ドライソケット」状態は、どの位の期間が経過すれば脱却できるのですか。
A近い将来妊娠を希望しているので、鎮痛剤を常用しているかのような現状にとても不安があり ます。この場合、副作用はいかがなものでしょうか。
B頭痛・耳の激痛は、「ドライソケット」以外にも考えられるのでしょうか。
C抜歯された歯が割れずに綺麗に原型を保っていたのに、抜歯時に耳の奥でものすごい音(「バ キッ!!」という太い木材を無理矢理折ったような音)がしたことです。この音はなんだったのでしょうか。 とても気になっています。以上4点ほどにご回答いただければ幸いです。

ご意見・ご感想:
あまりの痛さに耐えきれず、痛さから脱却できる方法はないかとインターネット で検索をしていたところこのホームページに遭遇しました。「ドライソケット」という言葉をこのホーム ページで先に教えて頂いていたので大変心強かったですし、このように丁寧な回答がされた有意義 な掲示板に初めてお目にかかりました。歯コンプレックスの私にはとても貴重なものになりそうです。

メールアドレス: tk670806@alles.or.jp   ホームページURL: http://

回答  ドライソケットの対応は画一的なものではなく、担当される先生の知識 と経験によって異なります。洗浄と抗生物質投与や再掻爬も有効な選択肢だと思います。抗生物 質軟膏の注入(+抗生物質投与)は、私の経験上最も有効な方法だと認識していますがその認識は 絶対的なものではありません。
 20年の臨床経験から、抗生物質軟膏の注入により全ての症例が1〜3日以内に症状の劇的な 改善をみます。抗生物質軟膏の注入効果を知らなかった開業当初の僅かな経験で申しますと、 その他の方法では回復の兆しが1週間、改善の確認に2週間程度要したような記憶があります。

 時期的にも頭痛・耳の激痛は抜歯窩の治癒不全と何らかの関係があると思います。抜歯窩が 治癒したのちも痛むようだと他の方向から考えてみる必要があるかも知れませんが、まずは抜歯 窩の治癒を最優先すべきです。妊娠については問題はないと思いますが、治癒後1か月は期間 を開けた方が無難でしょうね。

 「バキッ!!」という音は、おそらく歯の周囲に薄く残った骨が割れた音でしょう。骨折といえば大騒ぎ になるかも知れませんが、難抜歯では珍しいことではありません。骨折といっても下顎骨が真っ二つ ではなく、骨の薄い歯槽骨部分が一部破折しただけで、それだけではたいした痛みもなく治癒する はずですが、ドライソケットを併発すると多少痛みを増す原因になっているかも知れません。

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