日付、時間:Sun Jul 23 1:06:44 Japan 2000
氏名: S.S.
所在都道府県:東京
職 業:その他
年 齢:39歳
性別: female
質問:
こんにちは。お忙しいところ誠に恐縮ですが、質問にお答えいただけましたらうれし
く思います。
先日、左下奥歯5、6、7のブリッジ(元々は20年前にしたもの)を根が出てしまっていること、
7が虫歯になっていること、審美性の理由でセラミックにかえてもらいました。5は神経のない
歯、7は神経があり知覚過敏になっている歯です。
ところが、7のところのクラウンの外側手前にかけて0.8mm? ぐらい根がのぞいているのです。
つまり、クラウンと歯茎の境がぴったりと合っていないということです。歯科医にこのことを話した
ところ見た目が問題となる前歯と違って、清掃性と言った観点からこれで大丈夫とのことでした。
そして、清掃性をとるかどうかということは、本などでも論争になっている点であり、一番望ましい
のは、エナメル質と歯茎の境に被せものがくることです、とのことでした。そこで、「出ている根の
部分が虫歯になりませんか?」と尋ねたところ、「それはなり易いですが、Sさんの場合は根が
虫歯になりにくい歯なので」ということでした。そして、知覚過敏の為に薬をつけてくれました。
私としては、知覚過敏もある歯であり、いずれは歯茎がまた徐々に下がってしまうとしても(加齢
とともに奥歯は1年に O.2mm下がるそうですね)、最初はぴたっとはまっていてほしかったので
すが。歯科医いわく、ぴたっとさせるのであれば、また少し削って作り直すということなのですが、
やり直してもらった方がいいのでしょうか?私としてはやり直したくないのは山々です。歯に対す
る負担、そして、7は知覚過敏の歯なので、また麻酔をして削って、型をとってというのは、出来
れば避けたいとは思いますが。尚、今のところ歯茎の状態に大きな問題はないそうです。
先生はこのケースをどのようにご判断なさいますか?ご意見をお聞かせいただけたらと思いま
す。
ところで、先生のところに東京など遠方から通院なさっている患者さんはいらっしゃるのでしょ
うか?
メールアドレス: nogis@ya2.so-net.ne.jp
ホームページURL: http://
審美性を優先して考えれば、クラウンマージンは歯肉縁ギリギリか歯肉縁下に設定されるのが
望ましいと思います。しかも補綴物と天然歯牙との境目に一切段差がないのが理想的ではあり
ますが、現実には絶対無理と言っても過言ではないでしょう。その結果、補綴した歯のほとんどに
歯肉炎症が起こっているのが実情です。
前歯は審美性を優先しますので、多少歯肉炎症が起こっても歯肉縁下にマージンを設定する
ことが多いようですが、歯周病の立場からは歯肉縁上での設定が望ましいとされています。歯肉
縁上にマージンを設定した場合には、ご指摘のような二次カリエスの心配もありますが、歯肉縁下
に設定しても似たような結果になるように認識しています。
「クラウンを装着した限り二度とムシ歯にならない」という錯覚があったり、二度とムシ歯にならな
いクラウンを希望される気持ちは分かりますが、元々一番ムシ歯になり難い天然歯ですらムシ歯
になってしまう口腔内環境でムシ歯にならないクラウンを製作すること事態不可能だと思います。
歯肉や歯槽骨にしても、何もしなければ年間0.2mm程度の退縮がありますが、しっかりした清掃
とコントロールでムシ歯の進行ともども最小限にとどめる努力が必要です。また、ムシ歯などの
異常をできるだけ早期に発見して再治療を行うなどの気配りも必要ではないでしょうか。
故意に歯肉縁上形成をしたか、隙間があいてしまった結果なのかが分かりません。知覚過敏が
治まって、清掃性にも問題がなければあえて作りなおす必要もなさそうですが、経過と結果をみな
いとどちらとも判断できません。
東京も含めて、遠方から通院されている方は数名いらっしゃいます。ただ後々のメインテナンス
ということになりますと、せいぜい近畿圏内に限られているようです。
返信:
クラウンのマージンの件について質問したものです。お忙しい中、早速のご親切なお返事に感激して
おります。ありがとうございました。夏バテなどなさいませんようどうぞお身体をお大切になさってくだ
さい。
もう一点、気になる前歯の漏孔ですが、レントゲン診査の結果、漏孔の原因は2|の根尖
病巣のようですね。幸いにも金属ポストが短く歯根破折の可能性も低いので、根管治療をやり直す
ことで治癒する可能性が高いものの、現在それ程症状がないことと、周囲の歯に対する影響も少な
く、機能上・審美的にも問題のない補綴物が装着されていることから、早急な治療は必要ないものと
思われます。
根管治療は必ず成功するものではありませんが、反対に治療が的確であれば、病巣の大きさに関
係なく“治るものは治る”という実態がありますので治療の先送りは問題になりません。
口腔に関する関心が高く、清掃状態が良好で歯周疾患進行傾向も低いので、これからもメインテナン
スを続ければ良好な環境を保持できるものと思われます。