根管治療の技術に問題がなければ時間経過や根尖病巣の大きさとの関係はほとんど感じられません。
日本の治療は…(カナダ)

日付、時間:Thu Jul 27 12:22:30 Japan 2000    氏名: MA   
所在都道府県:神奈川   職 業:会社員   年 齢:31歳      性別: female  

質問:
現在、カナダのトロント在住です(所在地の選択肢になかったので、本籍地を選びま した)。根管治療に関して、時間の経過と治癒の確率の関係、つまり、放っておく時間が長けれ ば長いほど治療の成功率が下がる、というようなことがあるのか教えていただきたく、質問を書 いています。
最初の症状6月17日(土)に右下6番か7番のあたり(最初は痛みの正確な場所を同 定できず)が猛烈に痛み出し、とりあえず痛み止めで週末をたえ、19日(月)に歯医者へ行きま した。
過去の履歴右下4番、5番、6番、7番はすべて、10年以上前に抜髄し、約10年ほど前 に歯根膜炎で根管治療をうけました(いずれも日本で)。下あごが上あごなどと比較してかなり小 さいそうで、右下8番は生えかけたままの状態で進展がなく、矯正治療の際に歯茎を切り開いて 取り出し、現在はありません。
処置レントゲン写真をとり、右下6番の根の先の黒い影を指摘されました。 また、根管治療が行われているのは、6番も7番も何本かずつある根のうちの1本だけで、他は なにも処置されていないことが写真で確認されました。5番は根管治療がされていましたが、根 の先端にやはり小さな影があるとのこと。
いずれにしろこれらの根管治療(Root Canal)が必要だとのことでしたが、その歯医者さんは根や 歯周の治療はしないとのことで、別のスペシャリスト(Endodontist)を紹介していただき通い始めま した。ちなみに、根管治療が終わったところで、最初の歯医者さんにもどってクラウンを作ってもら うそうです。
スペシャリストの先生の初診で、「おそらく6番が今の痛みの直接の原因だと思うけれど、7番の 根管治療もやり直さないといずれ同じように炎症を起こす。1本ずつやるか、2本まとめてやるか は、クラウンを作る過程にも関係するのでもう一人のドクターと相談しながら決めていきます」との ことでした。このときに、デキサメタソン(Dexamethasone, corticosteroidだと書いてありました)1 日分と、この薬が効くまでの痛み止めを処方されました。
しかし、この先生がお忙しいらしく、最初の治療の予約はこの日から1ヶ月あとの7月26日。そして、 その日は時間が足りなくなって治療途中でおしまい、その次の予約が約2ヶ月先の9月15日とい う状態なのです。以前に根管治療をしたとき、炎症が大きくなればなるほど治療の成功率が下がる と聞きました。長い時間放っておけばおくほど炎症はひどくなりそうな気がする一方で、処方された 薬がそれを防ぐ働きがあるようですし、先生にこの旨質問しても大丈夫だと言われていますが、こ のままここで治療していていいのかどうか不安に思っています。 処方された薬をのんだから痛みはやわらいでいますが、痛みの間隔がだんだん短くなってきていて、 痛みの強さも少しずつ強くなってきてはいますが、まだ、なんとなく痛む程度の強さです。歯はなる べく抜きたくないし、こちらの治療費は日本への飛行機代の3往復分くらいはゆうにかかるので、 それこそ、日本に一時帰国して治療をしてしまおうかとも考えています。
治療の成功率と時間の関係について、アドバイスいただけませんでしょうか。よろしくお願いします。

回答  根管治療の成功率は、日本の或る公立病院で78%という発表を聞いたことがあります。根の 形態や種々の条件により100%は絶対に達成不可能な数字だと思います。私自身、成功率90% だと思っていますが、もっと丁寧にすれば、或いは再治療を含めれば95%くらいは達成が可能な 数字だと認識しています。

 さて、ご質問の時間経過との相関ですが、言い訳としては「長く置きすぎた」とか言われることも 多いかとは思います。しかし、実際には根管治療の技術に問題がなければ時間経過や根尖病巣 の大きさとの関係はほとんど感じられません。
 治る時には治る。従ってもう少し臨床症状がヒドクなってから…とか、被せがはずれるなどのキッ カケがあれば治療しましょう。ということも日常です。

 まぁ、それにしても、患者さんが痛いと言ってるのに2か月先とはのんびりしたお国柄というか、 その程度の治療進行状況でも生活の成り立つ、歯医者にとっては天国みたいな国ですね。


ご意見・ご感想:Fri Jul 28 0:19:34 Japan 2000
 7月27日に質問しましたカナダ在住の者です。早速のご回答ありがとうございました。お蔭さま で不安は取り除かれましたが、やはり痛いのは痛いので、次回の予約が少しでも早くなるように 交渉してみようと思っています。
ところで、挿絵とそれについている一言が核心を突いているというか、心にずっしりと来るのですが、 これらすべてお手製なのでしょうか?
 カナダという遠い地からでも短時間でアドバイスを受けられ、しかも歯に関していろいろ勉強できる 充実したサイトで、本当にすばらしく、感謝しています。こちらで治療をしていただいている先生お二 人とも、日本人の患者さんを何人か診たことがあるそうなのですが、私のレントゲン写真で過去の 根管治療がおそまつなのを見たとたん「うーん、日本の治療は、、、、、、」というようなこと をおっしゃったのです。考え方、治療方針の違いは必ずあるとは思うのですが、「日本の歯科治療」 とひとくくりにされてしまい、日本人としてくやしく思いました。
このサイトを通して、「日本の歯科治療」全般に渡って影響を及ぼされるよう、さらなるご活躍をお祈 りします。本当にありがとうございました。ときどき勉強にまた訪れます。

一言:
 同感ですね“日本の治療は、、、、、、”。“安かろう悪かろう”でもないのですが、疾患に対する根本 的な考え方に間違いがあるような…?
 挿絵については本来全て作成しておりましたが、質問が1000を越える現在では作成する時間がない ので700程ある挿絵から一番近そうなものを選んで使っています。

根管治療 根管治療 根管治療 根管治療 根管治療 根管治療 根管治療 根管治療 根管治療 根管治療 根管治療 根管治療 根管治療 根管治療