如何なる条件でも最善を尽くす医療現場には絶対馴染まない制度だと認識しています。
補綴物維持管理料

日付、時間:Wed Aug 23 14:17:55 Japan 2000    氏名: A.S   
所在都道府県:福井   職 業:会社員   年 齢:32歳      性別: female  

質問:
歯医者選びで相談させて頂いた者です。現在、治療中なのですが、また先生のご意見 を伺いたいと思いメールいたします。

    右下について
  1. 右下5678(6欠損)は、ブリッジがしてあり、5番が抜髄済みだったのですが、風邪などを引くと ずきずき痛み、根に病気があるとのことで、被せたものをはずして根管治療をしました。何度もリーマ などで掃除し、今はなんとか根管充填がおわり、抜歯を免れました。
  2. 右下4を抜髄 抜髄後、打診痛が長引いたり、残髄があったりでこちらも相当回数をかけて治 療し、痛みがとれたので根管充填しました。 私としては、4と5は目立つので、白(メタルボンド?!) にしたいのですが、5は1度病気になっていますので、4のみ単独で白、5−8は銀のブリッジの方が 無難でしょうか?!(通院している先生は希望があれば、そのように作りますよとのことで、余計悩み ます。)
    右上について
  3. 右上6番を抜髄 ここも右下4と同じく、すんなりといきません。通常2、3回で根管充填している そうなのですが、何度かのあとで残髄がとれたりで・・河和田先生のように一気に掃除してくださると いいのですが。すこしでもきれいな状態で被せた方がよいと思い、通院している状態です。(ホント、 先生のところで根管治療をして頂きたいです・・。)。
  4. 右上5はメタルボンドになっていますが、なんとなくたたくと響くきがして、治療の必要性を訪ねた ところ、「確かに病気はあるが、根管はきっちりとコアが入っていてはずすのは難しいからこのままの 方がいい」と言われてしまいました。
    右下5は、はずしてもらったのになぜでしょう?
    下の歯はコアというのが入ってなかったのですか?
    レントゲンを見ると右下5は根の先が少し丸く黒い影になっているところが病気のようでしたが(先生 の絵のような感じです)、右上5は根の先は黒い影はなく、歯の外周?!にうっすらと線が入ってい ました。うまく説明できませんが・・これは下5と違う病気でしょうか?
    全般的なこと
  5. うまく被せてないからか、歯茎がやせたからか、歯と歯の隙間がポケットになってきていて、 歯間ブラシも楽に通ります。歯茎の状態は今のところ問題ないとのことですが、根管に病気があれば 今後痛くなったときはどうすればいいのかと思うのですが・・。この状態でコアをはずしてもらえない としても、歯茎に合うように被せ直したほうがいいのでしょうか?
  6. 下の歯と同時に補綴物を作った方がかみ合せが良いということはありますか?
長くなりましたが、よろしくお願い致します。

メールアドレス: aroebox@yahoo.co.jp   ホームページURL: http://

回答  メタルボンドのような高価な治療が施された歯は、患者さんにとって除去されるのはイヤでしょうが、 歯医者の方も何かイヤものです。患者さんの方から「とても痛いからはずして治療してくれ!」と言わ れれば、おもむろに「必ず治癒するとは限りませんが何とか最善を尽くしてみましょう」ということで スムーズに話がまとまります。

 ところが、「時々腫れる・ちょっと気になる」程度の訴えですと、「とりあえず膿を出して、化膿止め を出しますので様子をみて下さい」という方向に流れてしまいます。
 除去する手間(¥300では全く不採算)もさることながら、除去にあたっては破折のリスクがあること、 破折→抜歯になった場合の補綴方法や費用を細かく説明して高額なメタルボンドは全く使い物になら ない事実や理由を説明するのは大変なエネルギーです。さらに根管治療が100%成功しない事実や 理由、それにうまくいかなかった時のフォローの方法やそのまま治療しなかった時との比較。高額な だけに患者さんの決断も鈍いので、まぁ、これだけ説明したら1時間はかかります。診療は完全に ストップしてお手上げ状態は目にみえています。
 「どうしようもなくなったら、何とかしましょ」という方が楽なのと、前の先生が保険外で儲けた後始末 を保険内で行うことへの抵抗も手伝って腰がズッシリ重くなります。根管治療に自信をもった(成功率 90%)私でもこうですから、根管治療に自信のない先生ならなおさら手がけるのがイヤだと思います よ。

 コアの形態が異なるのか、残存歯質歯質が少なく破折のリスクが高いなどの理由も考えられますが、 症状が鮮明でないだけに(レントゲンの違い)重い腰が一層重くなっているように見受けられます。 いよいよの時には、何とかしてくれるでしょう。

 治療が必要な時、簡単に(素直に)治療が行える点に関しては、安価な保険の補綴物程便利な ものはありません。1年前に装着したものであっても、「アラ 根尖病巣が…」で何度でも?やり直し ができるメリットは非常に大きいと思います。根管治療の成功率が100%でないことは、諸条件や 現状の歯科医療レベルからある程度仕方のないことだと思います。それならば、無理をしてまでも 高額な治療を行うこと自体…歯医者も患者さんも…間違いだと確信しています。  審美性を望まれる気持ちはある程度理解できますので、下顎の治療は担当医の勧められるよう に最低限の保険外処置にとどめるべきでしょうね。

 咬合平面が極端に乱れているケースでは上下の同時補綴が 必要ですが、年齢的におそらく必要はないものと思われます。また、補綴物のマージンは適合が 良いにこしたことはありませんが、根管治療のない再製はほとんど無意味な処置でしょうね。
 原因は歯肉退縮=歯槽骨の喪失=歯槽膿漏ですので、歯槽膿漏の治療およびコントロール こそが必要な処置です。


質問:Thu Aug 24 13:35:58 Japan 2000
 8月23日に質問しました。丁寧な返信ありがとうございます。右上5の件は妙に納得してしま いました。それに、根管治療なしの再製は意味ないですか・・。確かにメタルボンドは高価で費用 の面でも大変なのですが、前の歯医者の治療に対して不審感がいっぱいで、右下5のようにず きずき痛む前に根管治療を含めて再製してもらった方が歯の寿命が延びるかもと思ったのです が・・(しかも、前の歯医者で何万円もかかった記憶がなかったので)。
 このお話を聞いて、左上5番についても迷います。右上5、左上5とも前の歯医者での同じ治 療(4、5年ほど前)をしたのですが、現在、右は1ミリ程度の歯の露出ですが、左は2ミリ以上露 出しています。(歯肉減退もあるかもしれませんが、治療当時からかなり露出しており不満でした )加えて、隣の歯との間にいつも食べ物が挟まってしまうので、再製しようかと思っていたのです が、どう思われますか?
ちなみにメタルボンドで65,000円から70,000円とのこと。(この医院では10年ほど前にも6 万円でした)すごく痛いと訴えて(笑)再製するといいでしょうか、それとも歯が折れたりす るリスクを考えると「何もしない」がベストでしょうか?レントゲンは撮っていないので、中の状態は わかりませんが、特別痛みはありません。
 それと、この医院で言われたのですが、「補綴物維持管理?!があって、1度装着すると2年間 はやり直しできない」とのこと。これはどういうことでしょうか?! 
もし、痛くなったらどうすればいいのですかと聞いてみましたが無言のままでしたので、不安になり ました。先生、何かご存知でしたら教えて下さい。 

ご意見・ご感想:
先生の意見はとても参考になります。時間とお金があれば、先生の病院の近 くにしばらく合宿?!(笑)して治療をお願いしたいくらいです。無意味な治療は控えて、姫路への旅 費にしたほうがかもしれませんね。

回答:
 “食べ物が挟まってしまう”程度によっては再製も考慮の余地があります。しかし“痛いと訴えて再 製する”するのは絶対好ましくありません。”患者は症状を偽らない“というのが前提です。 レントゲンのような客観的症状だけでなく、訴える症状や症状の変化から治療方針を決定するから です。そこに偽りが入り込むと、迷いが生じて余計な時間を費やすだけではなく治療方針や治療結 果を間違える可能性が非常に高いからです。

 “補綴物維持管理料”ねぇ。
補綴物に対して2年間保証といえば、一見消費者にとって有利な制度のように聞こえますし、一部 では有効な制度かも知れません。しかし、如何なる条件でも最善を尽くす医療現場には絶対馴染ま ない制度だと認識しています。  例えばクラウンが脱離・紛失して、「新しい被せを作ってくれ」といわれた場合を考えます。根管治療 に不備があって何時か症状が現れることが予想されるがその時期は分からない。2年以内かも知れ ないし10年後かの知れない。患者さんは痛みもなく根管治療は希望されていないし、治療にあたって は破折も考えられる。一旦被せておいて症状がでたら、その時点で治療をするのが最も好ましい選択 のはずですが……。  運悪く2年以内に症状がでたら、根管治療は有料ですが補綴物は無料で→全く不採算→何で責任 を取らされるの?
もし割れて抜歯になったら→ブリッジは無料→何で1本分の費用をいただいて3本分まで保証させられ るの?おまけに破折は被せた歯医者の責任じゃあないのに。
隣の歯が何らかの原因で抜歯となりブリッジにするケースも同じ。隣の歯まで責任もてない。

 歯医者の防衛作として…
無理して根管治療をして破折。
2年以内にトラブルが起こる可能性があるから抜歯。ついでに隣の歯も。
2年以内は保険が効かないから保険外で、とか、他の歯医者に行ってくれ。
こんな誤った選択や不信を招く言動になってしまいます。とにかく補綴物維持管理料は、医療現場を 大きく混乱させています。それと、患者さんにとって不利益の多い制度のようですね。

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