日付、時間:Sat Sep 9 17:40:53 Japan 2000
氏名: M.Fujiwara
所在都道府県:東京
職 業:会社員
年 齢:28歳
性別: female
質問:
先生こんにちは。大変興味深く読ませて戴いております。初めてご質問させて戴きます。
私がご相談したいのは、歯軋りの積み重ねによって生じている噛み合せの不整合についてです。
子供の頃から歯軋りがひどく、高校生の時に顎関節症であることを知りましたが、たまにあごの
動きが悪く感じる程度でしたし、手術は絶対必要ではないといわれ、そのままに現在にいたってお
ります。
7年程前に、左下の第一小臼歯(4)と第二小臼歯(5)の神経を抜き、保険の効くプラスチック製
の歯をいれて戴きました。新しい歯に違和感があり、その時にもだいぶ低めに歯を入れて戴
いてしまったことを覚えています。その後使い続けるうちに、その歯がひどく磨り減ってしまい、4年
前に見ていただいた先生に噛み合せがずれて、下あごが左に上がってきていることを指
摘されました。下あごだけでなく、上あごの歯も少しずつ右側よりおりてきて、長くみえているのが
わかります。
左右で比べると、犬歯の付け根の高さが5ミリ余り差があり、現在では、唇の両端に差
あることがはっきりわかるようになってしまいました。中心もちょっとずつずれてきているような気が
して、心配です。ものをかむ時はちょっとあごの動きに不自然なものを感じています。
その先生がおっしゃるには、私の歯軋りは大変ひどく、ほほの内側に歯の噛みあとがついている
のはもちろんのこと、長年のかみ締めによって、上あごがたわんで、出っ歯の状態になっていると
のことでした。そちらで提示された治療法とは、整体に通って正しい噛み合せを決めながら、(私は
虫歯も沢山あったので)全ての歯の仮歯をつくり、全体的に噛み合せをきめて本当の歯を入れて
いくという大変素晴らしい方法でした。
ですが、当時の私に払える金額ではなく(メタルボンド10本を含め、200万円程で、しかも一人
の患者さんに半日つきっきりで治療してくださるような先生ですので、かなり良心的であると思いま
す)、その時は諦めました。
その後、ずれてしまった噛み合せをなんとかこれ以上悪くすることなく、他の虫歯だけでも治そう
と、何件もの先生にかかりましたが、噛み合せについてきちんと考慮した納得のいく治療法には
その後めぐりあっておりません。
以前かかっていた先生は、前歯の噛み合せがきついので、合わせるために上の左の中切歯(1)
にメタルボンドをいれたとき、下の歯をけずらないと入らないといわれ、強引に削られてしまい、怖く
なって通院を止めてしまいました。現在かかっている先生には、磨り減ってきた先述の2本の仮歯
にを新しくして戴こうと思い、友人の紹介でかかりました。現在いれているプラスチックのものよりも
っと強いプラスチックの仮歯をいれて戴ける(名前はわかりません)と友人にきいた為です。
先に別な虫歯がみつかり、左下第一大臼歯(6)の根の治療をして戴いている最中だったのですが、
左下第一小臼歯(4)と第二小臼歯(5)の仮歯のすり減ってきているので、噛み合せを考慮した上で、
早めに新しい歯をいれて戴きたい旨を申し上げると、まず、歯軋り対策として、マウスピースを作っ
て戴きましたが、次の日とても首が痛くなるのであまり装着していません。また、新しく入れる歯に
ついてはメタルボンドを勧められ、噛み合せについては「下の歯の歯茎を切って、白いところがみ
えるようにすれば問題ない」といわれ、信用することができなくなり、通院を止めてしまって一ヶ月
になります。歯茎を切ることは噛み合せの根本的な解決にならないと思いますので、論外
だと思っております。
いずれはきちんとメタルボンドで治したいと思っておりますが、歯軋りがひどいと割れてしまうとい
われたこともあります。なによりも、左だけあがってしまった下あごを元に戻す方法はないのでしょ
うか?(例えば、左側の歯全てに仮歯によって高さを加え、徐々に元のあごの高さに調節していく
ことは可能でしょうか?)なるべくもうこれ以上健康な歯を削ることなく、少なくとも、これ以上の進
行を避けるには、どうしたらよいのでしょうか?
元の高さに戻すにはきっとこれまでずれるのにかかった時間の倍以上かかると考えています。
その場合、何度もメタルボンドを作り直すのでは費用がかかりすぎるような気もしています。ちな
みに、5年前までに親知らずは4本全て抜きました。前述した整体に通って治す方法がやはり最善
なのかとも思い、やはりそのやり方で治していくしかないかもしれないとも考えていますが、もう少
し保険の効く範囲で治す方法はないかとも考えて、決心がつきません。何年もかかる覚悟で通う
つもりです。しかし、どのような方法が現在考えられるのか、わかりません。
くどくどしく長々と書いてしまって申し訳ありません。先生のお考えになる最良の方法を教えて戴け
たらと思います。どうぞ、よろしくご回答ください。
ご意見・ご感想:
歯科に関するHPは沢山ありますが、こちらのHPは大変充実していて、かつ
良心的であると思います。メンテナンスは大変だとは思いますが、これからもぜひがんばってくだ
さい。
メールアドレス: KFR05531@nifty.ne.jp
ホームページURL: http://
“保険の効くプラスチック製の歯”ってレジンジャケット冠のことでしょ
うか。「周囲の歯が健全で、咬合維持がしっかりしている場合は使っても問題は少ないのですが、
簡単に磨り減りますので咬合低位になり顎関節症の大きな誘因となりそうです」という指摘がある
にも関わらず平気で保険導入している厚生省の怠慢に腹が立つと同時に、強制的に保険料徴収
しておいて、こんな問題のある補綴物を形ばかり採用して、「通常必要な治療は全て保険でカバー
しています」という保険制度に怒りを感じます。
もっとも原因は制度の問題だけでなく、歯軋りや多くの補綴処置を必要としたあなたと不用意に
装着して調整した歯科医にも責任の一端はありそうですね。急激な噛み合わせの低下による
“咬合低位顎関節症”の可能性は高いように思います。
ご要望のように、「左側の歯全てに仮歯によって高さを加え、徐々に元のあごの高さに調節して
いく」ことは可能ですが、必ずしも保険の規則が整備されていないことと十分な保険点数が認めら
れていないこと、更にそのような術式に精通した歯科医が極端に少ないために現実の対応は非常
に困難でしょう。前述の“200万円で治す”とおっしゃった先生が、本当に治せるのであれば他を探
して無駄な時間と労力を費やすことを思えば決して高すぎる治療費でもないように思います。
ご指摘の通り、咬合を更に低くする咬合調整(意味の有る咬合調整もあります)や、歯茎を切って
審美性だけを確保する治療は問題外です。