患者さんを納得させる説明が莫大な労力を要することが最大の要因です。
挺出歯の削合

日付、時間:Wed Sep 20 13:12:12 Japan 2000    氏名: まゆ   
所在都道府県:東京   職 業:会社員   年 齢:24歳      性別: female  

質問:
こんにちは。いつもHP見させてもらっています。 実は先日歯の治療で、下の親知らずの一個前奥歯(もう原形がなくてポッカリ穴が空いた状態) にようやくかぶせものをしました。それが、長い事その状態だったので、上の奥歯が伸びていま した。だから、上の伸びた部分を削って下の奥歯を昔どうりの歯の高さにするのかと思 えば、上の歯はそのままで、下の歯を背が低いままで治療が終わりになりました。
こういった治療は本当によかったのでしょうか。なんか納得いかないのですが。鏡でみても、治療 をしていた方の顎が、ヘっこんでいるというか、深い噛みこみになっているというか、そのせいでか どうかは知らないんですが、顎関節症も患っています。ちょっとした何ミリかの歯の高さで顎の状 態が変わってくるのだと思うのですか。先生のご意見お願いします。

ご意見・ご感想:
いつも見させていただいてます。お忙しいとは思いますが、がんばってくだ さい。

回答  ムシ歯については、黙って削っても不信や不満の対象にはなりません。また、我々歯科医にと って何の罪の意識も存在しません。ところが“健康な歯(ムシ歯でない歯)”を削ることには、相当な 抵抗感や罪の意識が存在します。
 患者さんにとっても、ムシ歯でない歯を削られることについてはその必然性を正しく理解しない 限り、不信・不満が大きいでしょう。「何もない歯を削られた!」という苦情が多いのも事実です。

 私の感覚では、ムシ歯以外にも歯周疾患や象牙質知覚過敏症末期、歯牙欠損によって挺出 した対合歯や傾斜した臨在歯も病的な状態で治療の対象になると思っています。それでも、挺出 した歯を削る時にはなかり遠慮がはいるのと、削る前に莫大な説明とエネルギーを必要とします。

 “来院された状態(咬合関係)が本来の姿”という感覚が根強い現状では、挺出歯処理の必要性 を感じることが少ないことと、患者さんを納得させる説明が莫大な労力を要することが最大の 要因です。歯科治療に対する知識と情報がもっと普及すれば、将来は変化すると思いますが、すぐ に変るようなものではなさそうですね。

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