実際に抜歯する立場であれば最大限の予防線を張っておきたいものです。
歯根端切除から脱出

日付、時間:Mon Oct 23 14:51:52 Japan 2000    氏名: H.Y   
所在都道府県:群馬   職 業:主婦   年 齢:35歳      性別: female  

質問:
2週間程前、上顎前歯の歯根端切除を受けるべきか相談 したものです。先生のアドバイスを受け、やたら手術をしたがるa医院から、”あなたの街の〜” で検索したb医院に転院し治療を受けた結果、とても集中して治療にあたってくれ、わずか3回 の通院で根管治療を終えました。痛みもなく順調ですが、差し歯にできるかどうかは半年後の レントゲンを診て決めるそうです。
 ただ、既に差し歯になっているところの根尖病巣の治療は、ポストが深いところまで入ってい るため、歯根を破損する危険が高く歯根端切除を行なわなければならないだろうとのこと。レン トゲンで診る限り、あと2年くらいは痛む事はないようなので手術は2年後以降ということでしょ う。b医院の先生は「ポストをはずして歯根を破損するリスクと、手術でのリスクを天秤にかけた 場合、前者の方がリスクが高い」とおっしゃるのですが・・・。やはり、ポストをはずしての治療は 難しいのでしょうか。
 それと、b医院で定期的なスケーリングをお願いしたところ、歯周ポケットの測定などをしてくれ たのですが、「歯肉の炎症がないし、ポケットも2と浅く歯石もついていないので、その必要はな いでしょう。」とおっしゃるのです。なおもお願いしても「必要なときはこちらから言います」とのこと。 ここは歯周病学会認定のお医者さまなのですが・・。以前、a医院でも同じようにお願いしたところ 、「深いスケーリングは歯肉を傷つけるから・・」と言われました。b医院は1回の治療時間が長く 集中して治療してくれるので、転院するつもりはありませんが、ちょっと困惑してしまいます。

ご意見・ご感想:
先生のHPはとても参考にさせていただいています。いつも感謝しております。

メールアドレス: YIU12932@nifty.com   ホームページURL: http://

回答  まずは見込みのない手術を回避され回復の可能性のある道に進まれたことをお慶び申しあげ ます。根管治療にもっと自信があれば、即刻さし歯にしても良いとは思いますが慎重さも必要な 場合もありますので指示に従っても損はないと思います。

 既に差し歯になっている歯についてはポストの状況にもよりますが、原則として破折を覚悟して でも根管治療を行うべきです。治療を行う時期は痛みがヒドクなってからでも間に合います。  私がいくら申し上げても、日本中の歯医者の認識を改めさせることは不可能ですが、理論的に “歯根端切除術”は誤った理論でありほとんど見込みの無い処置 だという観点にたって今後の対応を決めてください。

 根管治療に対して慎重な割には、歯周疾患に対して非常におおらかな発想なのは日本の保険 制度にも問題があります。疾病疾患だからです。現状歯槽膿漏の定義に当てはまらないものは 原則として保険適応の対象になりません。
 日本歯科医師会でも“35歳を過ぎれば85%歯周疾患”とは言っていますし、50歳も過ぎれば何 らかの形で必ず歯周疾患の病名の下に抜歯される歯が全ての国民に実在する状況でありながら、 しかも歯周疾患は10歳代がら程度の差はともかく全ての国民に進行しているはずなのに定義程 ではないことを理由に治療の対象にされていないことは実に大きな問題だと思います。

 自分の歯を守るためには、押しかけて頼むか快く引き受けてくれる先生を探すしかなさそうですね。 明らかな歯周疾患状態になれば「何でここまで放っといたの」といいながら治療してくれるのが実態 のようです。

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