日付、時間:Fri Nov 10 22:11:26 Japan 2000
氏名: N.NOSE
所在都道府県:東京
職 業:学生
年 齢:24歳
性別: male
質問:
はじめまして。8月末ごろから、下の前歯の歯肉の一部ががちょっと膿らしきもので
ふくらんでいたので、大学病院の口腔外科を紹介してもらい、そこでレントゲンを取ったところ、
想像以上にひどかったです。どういうわけか、歯根の部分から菌が歯槽骨のところに入って、
それで炎症を起こしていたようです。内圧の高まりから、膿が出口を探して、歯肉の表面に変形
を作って出てきたとのことです。自分では、たまに腫れぼったい感じがするくらいで、たいしたこと
ではないと思っていたのですが、遅きに失した感じです。歯肉の傷とか歯周ポケットから菌が入っ
たのではないとのことでした(しかし、ここの歯は最近治療したわけでもないのに、いつ入ったん
だろうか?)。
レントゲンを見せてもらいましたが、歯根の周辺が、ぼんやりと、でもはっきりと分かるように、
かなり大きく丸く写っていました。紹介元の歯科開業医への返信の封筒(封がしてあるので見れ
ないですが)を蛍光灯で透かして無理やり見てみたところ、何やら「〜の根尖部に大きな病変」と
の文字が確認できました。この封筒の内容は、口頭で説明を受けたのと同じことだと言われまし
たが、一応文書ではこういうことです。
それで、後日、歯肉を切開して、歯槽骨にドリルかノミのようなもので穴を開けて、内部を「そう
は」(どうやら「かき出す」ことのようです)して、消毒して、歯肉を縫合して、抗生物質と痛み止め
服用、一週間くらいで抜糸して、2から3ヶ月で骨が再生するだろうとのことでした。僕は、さすが
に戦慄を覚えました。ここで、お尋ねしたいのです。素人には、「骨にドリルで穴を開けて中をか
き出す」とかいわれると、すごく怖いのですが、この治療って、どういった(程度・種類の)痛みとか
出血があるのでしょうか?
外来で、一時間くらいで済むとか言われましたが、すごく心配です。治療手順なども詳しくお教
え頂けると助かります。それと、ここの場所は、僕が中学生(高校生の頃かな?)、即ち、6〜8年
も前ですが、に、一時期結構頻繁に、表面に膿が溜まっていたことがありました。この時は破れて、
はっきりと黄色い膿が出てきて、圧力が下がった感じがしたので、そのときは膿だったのは確実な
のですが、それ以来、ずっとなんともありませんでした。今回の大きな病変は、この頃から継続的
に大きくなっていたとも考えられるのでしょうか?歯の動揺などは全く無いのですが・・・。
さらに、上にも述べたように、歯根尖の辺りを包むように、ほぼ円形で、中央部からじわっと広が
ったような姿がレントゲンで見えたのですが、これが悪性腫瘍である可能性はあるのでしょうか?
(杞憂かも知れませんが、突然患者になってみると神経質になります。)
また、顔の横を通る太い神経を傷つけるといけないから、念には念を入れて、とのことで今日、
立体的なX線画像診断をしましたが、神経を傷つけるなんてことはあるものなのでしょうか。そうな
ってしまうと、どうなるのですか?ほうっておくと骨髄炎(どんなものなのだろうか?)になることもあ
り得るので、手術を受けるしかないですが、それまで心配な日が続きます。アドバイスをよろしくお
願いします。
ご意見・ご感想:
非常に情報が充実しているようで、参考になります。今後とも、歯に限らず健
康には気をつけなければ、と思いました。
メールアドレス: kobe_x@mail.goo.ne.jp
ホームページURL: http://
病名は、歯根嚢胞もしくは根尖病巣ということになります。悪性腫瘍の疑いは全くなさそうです
ので、その件についてはご安心下さい。また場所的に、傷つけるべき大きな神経もないところです
ので術後痺れが残るようなこともないはずです。
術式は、嚢胞摘出と歯根端切除ということですが、歯根端切除術
という術式にはどうも誤解があるようですので注意が必要です。原因は過去に抜髄したとかあとが
悪いか歯髄壊疽(神経が死んで腐った状態)ですので手術以前に根管治療(腐った神経や過去の
治療汚物に清掃)を最優先しなくてはなりません。そのまま手術して膿の袋を掻爬しただけでは絶対
に治癒しません。是非、徹底した“根の治療”を申し出てください。
“歯槽骨にドリルかノミのようなもので穴を開けて”ということに関しては、粘膜下であれば“歯茎を
切って”ということと同じく骨の中に溜まった膿を出すわけですから同様に骨を削るだけのことで、麻
酔下で行いますので処置も痛みも同じようなものです。それとそれだけ大きくて排膿があるという
ことですので、すでに歯槽骨は大きく破壊されているはずですからそれほど削る必要もなさそうです。
治療手順としては根尖部異物除去手術同様根管治療を行ったのち に手術すべきです。歯茎を剥離して患部を明示したのち、除去の邪魔になる骨を取り除いて根尖部の 不良肉芽(膿の元)を可及的に除去して縫合します。