日付、時間:Mon Nov 20 11:25:42 Japan 2000
氏名: Y・A
所在都道府県:埼玉
職 業:主婦
年 齢:33歳
性別: female
質問:
はじめまして。差し歯のことで、ご相談したくおたよりしました。20年ほど前に抜髄
した上顎前歯1番を2本とも3年前に差し歯にしました。それ以後右前歯1番の周囲(右の鼻の
穴の周囲、時に右の眉のあたり)が、痛みます。
差し歯にするまでは、特に痛みも無かったのですが、変色(特に右1番)が、ひどく差し歯を薦
められました。差し歯にするとき、根管治療はしませんでした。痛みを訴えると、差し歯を(右前
歯1番)外し根管治療をしてくれましたが、治らず、現在にいたるまで、3件歯科医院にかかりま
した。かかるたびに今度こそ、良くなると思い通院してましたが、根管治療中は、痛みがやわら
ぐのですが、しばらくすると、次第に痛み出します。
先日、痛みのある差し歯がぐらぐらするので、近医(初診)にかかりました。すると、も
う抜くしかないといわれ、ショツクをうけました。くる時がきたと言う感じです。残っている歯根がと
ても薄いため、もう削れないそうです。
そして、質問なのですが、やはり抜いたほうがいいのでしょうか?
今は、取れた差し歯をつけてもらってしのいでいます。でも、鼻(右)が痛いです。 それから、もし
抜いたとしたら、隣の左前歯1番も差し歯ですし、前歯右2番も抜髄はしてませんが、以前虫歯で
削り白い詰め物をしています。今かかっている歯科の先生は、抜いた歯の両隣の歯にブリッジを
しますといっていましたが、その間、歯が無いまま過ごすのでしょうか?
また、前歯左1番も歯根に病巣が、あるので、歯茎を切って膿をだしますといわれましたが、い
まのとこ、左は、全然いたくないのですが、膿をとってもらったほうがいいのでしょうか?
どのようにとるのか、痛そうで、怖いです。これで、左の歯まで、痛みがでるのでは・・と不安です。
悲しいことに歯医者さんが、最近信じられず不安です。いまかかっているとこで大丈夫か考えてし
まいます。良い歯医者さんと信じて受診するしかないですよね。お忙しいところ、長文になり、申し
訳ありません。解りにくい文章だと思いますがよろしくお願いいたします。
ご意見・ご感想:
はじめて、先生のホームページに出会いとても嬉しかったです。これからも、
たびたび、歯のことを知るために、先生のホームページを見させていただくつもりです。
メールアドレス: y.y.akasaka@nifty.com
ホームページURL: http://
問題の歯が痛む原因としては、根尖病巣と歯根の 穿孔もしくは
亀裂が考えられます。原因が根尖病巣であるならば抜歯を避けて根管治療を徹底すべきだと
思いますが、経緯から推測するところ穿孔/亀裂が存在するような感じです。
穿孔も状況によっては外科的手法での延命処置が可能かも知れませんが、必ずしも良好な
予後が得られるとは限りません。
さし歯を再治療するにあたって、穿孔や歯根破折のリスクが高いことはご理解いただく必要が
あります。技術的な側面もありますが、すでにムシ歯(二次カリエス)に罹患した部分を取り除くと
有効な歯質が残らない場合も多く存在します。“差し歯がぐらぐらする”といった時点で、最後の
トドメとして歯根破折が起こった可能性もあります。
痛みの原因が歯根破折・亀裂・穿孔であるかどうかを最終的に確認して、根管治療による回復
の見込みがないことが確認された場合には速やかに次の治療方針に切り替えるべきです。
根尖病巣の存在する反対側の1番については、無用な切開は避けるべきです。治療するのであ
れば、例え穿孔や破折のリスクが伴うにしても根管治療を優先すべきです。根管内の清掃を伴わ
ない歯根端切除や無用な切開は状況を悪化させる可能性が高い
ことを認識しておく必要があります。
ここでの選択として、将来はともかく痛みのない根尖病巣はそのままにして一旦ブリッジにして
しまうか、この機会に根管治療を行うかを決めなくてはなりません。これは病巣の大きさや、治療
時のリスクの高さ、更には根管治療の技術により判断は異なります。
治療中の審美性確保については、あらかじめ両隣の歯の治療を仮歯装着まで進めてから抜歯。
抜歯と同時に仮のブリッジを装着すれば、審美性を損なうことなく抜歯窩の回復を待つことができ
ます。その辺の手順は、治療を始める前に、担当医と十分打ち合わせしてください。