日付、時間:Tue Nov 28 9:53:03 Japan 2000
氏名: S
所在都道府県:東京
職 業:その他
年 齢:28歳
性別: female
質問:
こんにちは。よろしくお願い致します。今右上2番を感染根管治療中です(5年くらい前
に神経を殺し、ブリッジにした所です)。既にブリッジをはずし、今週3回目の治療ですが主治医に
聞いたところ治療期間はどれくらいかかるかわからないとの事でした。丁寧に治療してもらえてる
とは思います。河田先生は根管治療は1度は2度が勝負との事ですが、どれくらい経って改善が
見られなかったら、他の病院もあたってみたらいいかと思われますか?
またこの治療をした後は必ず、少しですが鈍痛があります。これは仕方ない事なのでしょうか。
あと虫歯で気になっているところもあります。下顎左右6番ですが、すでに治療済みで最近銀が
錆びてきて、少し痛みを感じるので、一度はずしてもらい、白い薬?(ガムのような)を一時的につ
めています。銀のつめものをとった後、先生はこれ以上悪いところはないから、白い詰め物で少し
様子を見てうずくようだったら抜髄しかないとおっしゃるのですが、食事にも殆んど影響はなくたま
ーに何かがこそっと動くような(変な表現ですみません)少し痛みが感じがあるくらいです。夜も寝
れないという事は全くありません。そのような状況でも抜髄になってしまうのでしょうか?
2次カリエスですか?
今日、他の歯科で見てもらう予定ですが、前歯で苦労しているので 抜髄は絶対にしたくありませ
ん。無知な私ですがどうかよろしくお願いいたします。
ご意見・ご感想:
とても勉強になるHPで、よく拝見させていただいています。機会がありました
ら1度先生の病院で是非診察していただきたいと思います。このHPのおかげで歯の大切さを実感
し、(既に悪いとこもいっぱいありますが)歯磨きを丁寧に一生懸命するようになりました。これから
もずっとそうしていきたいと思います。
根管治療の命は、根管内の清掃(根管形成)と綿密な閉鎖(根管充填)で、途中行われる根管
内の消毒(根管貼薬)は全く無意味な行為と認識しています。従って私医院では、原則即日充填
で全ての根管治療を終了しています。
一般的な手法としては、根管内の消毒を非常に重視していますので症状が治まるまで貼薬を
続けます。例え無意味な根管貼薬であっても、最初の根管形成が十分であれば痛みは速やかに
消失しますが、反対に、根管形成が不十分であれば何回貼薬をしてもなかなか良好な結果が得ら
れません。中には、度重なる貼薬の結果根管内の清掃が十分になって症状が消失することもあり
ますので、長い治療には全く見込みがないわけではありませんが、できることならば1回の治療で
十分な清掃をしてくれるところの方が先々の見通しも明るくなります。治療直後の多少の痛みは仕
方ないとしても、2〜3回で良好な結果が得られなければ転院も視野に入れた方が良いのではない
でしょうか。
下顎の6番については、症状が落ち着いているようですので一旦最終的な修復物を装着して安静
にしておけばそのまま治まるのではないでしょうか。装着後の経過が“うずくようだったら抜髄しかな
い”と思いますが、あまり過剰な心配は無用だと思います。
診断:
根管治療中の2|は、ビタペックス(ヨード系の糊剤)が注入されて、その薬理作用によって
かなり炎症が治まった状態です。ビタペックスで経過観察後本格的根管充填が行われる予定のよう
ですが、根管清掃と根管充填が完璧であれば経過観察の必要性はないように思います。
下顎左右6番については、インレー装着後症状も消失していますので今後問題なく経過するものと
思われます。
感染根管治療後の根管充填では、大なり小なり必ず?一時的な炎症が起こります。根管充填
(根尖部の閉鎖)に問題がなければ根尖部に押し出された異物は必ず自然排出か生体に吸収さ
れて炎症は治まります。痛みの程度によっては、人為的に切開・排膿(押し出した根充剤の除去)
した方が治癒が早いだけのことで、或る程度我慢できる範囲の痛みであればあせって次の手を
講じるよりのんびり回復を待った方が得策だと思います。
22日は、痛みが軽減傾向にあるようならそのまま経過をみたいと思いますのでキャンセルして
下さい。痛みが一向に軽減しないのであれば、切開・排膿します。いずれにしても治癒するはずで
すのであまり深刻に悩まないで、睡眠を中心に体力を蓄えることを主体に生活していただきたいと
思います。
痛みの有無と経過が現状を一番正しく反映しています。
痛みの軽減に17日も要した右上2番は、その経過の長さに比例して大量の根管内汚物(過去の
充填材)を押し出してしまった結果だと思います。また、痛みが減少傾向にあることは、将来治癒
に向かう傾向にあることを示していると思われます。
一方、左上の2番も今のところ痛みがないということですので、とりあえず歯根端切除が功を奏
しているものと思われます。問題は、根尖部閉鎖に用いたアマルガムの親和性と封鎖性がどの
程度継続するかだと思います。ダメになった時にはもう一度改善のチャンスがありますので、早急
な結論を求めないことと、再治療を意識した補綴物の装着が望ましいと思います。