、“抜歯しなければならない根尖病巣” というものはありません。
歯性上顎洞炎

日付、時間:Fri Dec 1 22:40:56 Japan 2000    氏名: N・T   
所在都道府県:愛知   職 業:主婦   年 齢:30歳      性別: female  

質問:
11/10に歯性上顎洞炎(右上754)について質問したも のです。先日はありがとうございました。お礼が遅くなり申し訳ありません。また不安になってし まったために質問させてください。よろしくお願いします。
 以後、先生に教えていただいた事を頭に置き、週に1回ペースで、口腔外科、そして主治医に 通っています。11/16に口腔外科で再度レントゲンを撮ったところ 素人目には まだまだ右側上 顎洞は白かったものの先生いわく「良くなってきているので、根っこの治療を先生に(歯科主治医) 頑張ってもらって。外科的所見だと4・5も今すぐ抜歯したいけどね」と、言われすごくショックでした。 4、5は全く痛みもないのに・・。ただ抜かないのは 私の「できるだけ抜きたくない」と言う要望と主 治医が最初紹介状に書いてくださった「なるべく保存で」と言う言葉だけのようです。
 主治医に望みをたくして、通っているのですが混んでいるせいか時間が短いのです。右上7番 根管治療の時もリーマ(でしょうか)でぐりぐり掃除してもらったのですが割りとあっさり終わりました (でもとても気持ちよかった。痛いけど)。それから翌週(月)「まだ膿が出るので蓋はしないでお きます。」と綿の詰め物だけでした。その週の(土)の夜にまた激痛が起こりはじめ 痛み止めも なかなか効かない状態で翌日(日)救急歯科に行き、一番上にかぶせてあった綿を取ったらドッ と膿がでてきました。それからは痛みがおさまり楽になりました。
 次に歯科医に行った時には 土・日の出来事は、どうでもいいから 口腔外科がなんと言ってい るか聞かれ「自分の判断で抜いて良いのかな」と もううんざりしたご様子でした。結局 アース棒 (?)を握り 熱殺菌?消毒?され ふさがれました。

 不安・・と言うのは 今の先生が腕が悪いとはとても思いませんが11月中頃に実家の母の主治 医の先生に一度相談がてら見ていただいたところ「7番は空けて見ないと状態の善し悪しはわから ないが レントゲン(全体のみ)を見る限り根管治療で充分良くなると思う。 4番5番も抜けない軸(?) ではないから大丈夫。 抜きたいような歯と言うのは上顎洞炎を治すには・・と言う意味だと思う。 「誰が手がけてもきっと同じくらい。急性炎症があった時遠くの僕より 近くの先生がいいだろう」と 言われ安心して帰ってきました。ところが そのすぐ後 4番5番を治療して欲しいと頼んだところ「 太い軸が奥の方まで入っているから 折れたら諦めてもらうしかないね」と言い捨てられ治療が始 まりビクビクでした。2歳の子供は足元から乗って這い上がってくるし;;怖かったです。でも無事と れました。ただ外に出ている歯はほとんど削られてありません。
 そんなこんなで先生と私の間でなんとなく不信感が漂っています。毎回の治療でも 私が口をあ けている時と口をゆすいでいる時に先生が2,3言 話すだけです。4番5番についてもそんなに悪 いんですか?と聞いても「悪いね」と言うだけで どれくらい悪いのか痛みも無いしわかりません。。 いきなり3本抜歯と言われても納得できません。次 痛いといったら7番即抜歯されそうで・・行きた くなくなってしまいました。
長々と夢中になってすみません。質問させてください。

 長々と本当に申し訳ありません。先生に今すぐ見ていただきたい気持ちでいっぱいです(この距離 のものでも診て頂けるのでしょうか?)何卒よろしくお願い致します。

ご意見・ご感想:
この数週間Q&Aコーナーを何度も見ました。自分だけではないと思うと勇気づけ られます。先生のお答えを見て、今まで安易に抜髄していた事に後悔しています。残った歯をできる 限り守ろうと努力します。

メールアドレス: ibaraki@eva.hi-ho.ne.jp   ホームページURL: http://

回答  つまるところ、根管治療で苦労されているみたいですね。
私の経験では、歯槽膿漏末期の大きな根尖病巣はともかく、“抜歯しなければならない根尖病巣” というものはありません。根管治療が不能な歯とか、歯根の穿孔・ヒビ割れなどがあれば速やかに 抜歯やヘミセクション(部分抜歯)を決断しますが、根管治療に問題ありと判断したものについては、 原則として即日充填までもっていきます。根管充填に自身があっても、術後の一時的な炎症が起こ って排膿が必要とする程の状態になったとすれば根尖部からの排膿( 根尖部掻爬)を併用する可能性(数%以下)もあります。

 根管治療に悩まれている患者さんは全国に多数(無限?)にいらっしゃいます。それだけ治療に 信ぴょう性がないといえます。“今の先生が”というよりも、私からみれば根管治療に対する考え方 …根本的には炎症発生のメカニズムに大きな見落としがあるように考察しております。

 6番の痛みについては、周囲(上顎洞を含めて)からの炎症波及による痛みだとは思います。 4・5・7番を抜いてしまうと、おそらくインプラントは無理でしょうから、またまた3番6番を抜髄して B45Eのブリッジにするのが普通です。これにより、将来同じ事を繰り返す可能性もありますので できるだけ回避したいものですね。7番だけを抜歯した場合は、抜きっぱなしになると思います。
 原因が7番でけで、根管治療が本当に無理な状況と判断されるならば、速やかな抜歯も有力な 選択肢になります。4番5番は比較的根管治療が容易ですので、的確な治療が為されれば保存の 可能性は十分あります。過去の根管治療の経過を拝見する限り、下手に手をつけられる前に転院 された方が無難なように感じます。

 紹介云々に関しては、「気に入らなければお断りするとか、他を選択することは可能です」という よりも、外国では当然のようですよ、日本人は変なところで生真面目で困ったものです。別に、人身 売買されたわけでもないのですから、もっと気楽に考えるべきだと思います。

 私の医院につきましては、遠方からの患者さんも結構多く相応に対応させていただいております。 質問の延長の形で、レントゲン診査の上で相談だけでも構いませんし、実際の根管治療までされる かは相談の上考えられても結構です。少なくとも現状把握と、今後の参考にはなると思います。


返信:
早速お返事頂きありがとうございました。聞いていただくだけで、気持ちがすーっと楽になります。 転院も考えはじめました(市民病院口腔外科が悩みの種ですが)。
 そこでまた質問がありまして・・河田先生のおっしゃる「過去の根管治療の経過」とは今起こって いる病巣のことでしょうか?
それとも今回治療の右上7番治療の経過でしょうか?
 もし今回の7番治療の経過でしたらすぐにも転院ようと思います(4・5番はなんとしても守りたいの で。3番はとてもきれいな歯なんです)。
私が先回行われたアース棒握って・・と言うのは通常ありますか?
これで7番の根管治療は一段落ついているのでしょうか?
充填はされているのでしょうか?
痛みは少し落ち着いています。
 もし病巣のことであればもうこれは10年以上前にきっと抜髄していますので今の先生ではないん です(20歳で就職してから抜髄した記憶がないので)。

いずれにせよ、今の先生にはしっかりした説明をしていただけない為不安になります。7番はよほど ひどい状態だったとしても「4・5番はきっと大丈夫だと思う」くらいの言葉が欲しかったです。  河田先生のところにうかがいたいと思っているのですが、何分 子持ちでまわりの協力無しでは無 理なので話あっています。皆さんの質問にもあってこんなこと聞いても・・と思うのですが・・もし、私の ような場合 どれくらい通うことになりそうですか?
だいたいでいいです。3本もあるのでやはりかなりかかりますか?
こういう場合やはり一本づつ治療に通うのでしょうか?
何ヶ月位かかるものなのかもできましたらお教え願いたく、まだ見せてもいないうちから・・とお叱りを 受けそうですが実家に里帰り計画していますので何卒お願い申し上げます。

姫路駅へは新幹線で神戸まで行き乗りかればいいのでしょうか?(恥ずかしながら新幹線は神戸ま でしかで行ったことがありません;;;)
ごめんなさい。もうひとつだけ。
レントゲン(全体)の写りにばらつきはあるものなのでしょうか?
と言うのは 口腔外科でとってもらったものの4.5番の歯は黒く写っていてそれを見てすぐ抜きたい ような歯といわれた気がします。でもそのすぐ後母の主治医に撮ってもらったものはちゃんと白かっ たです。根先に大きく黒いものはありましたが・・。
それを見て口腔外科は行くたびに「抜きたい」・・というのでしょうか?
肉芽?とか言っていたような・・・・。
いつもながら長くて申し訳ありません。よろしくご回答のほどお願い申し上げます。

回答:
 「過去の根管治療の経過」とは、いっこうに結果が得られない7番の治療のことです。激痛が起こり はじめたり、アース棒(?)を握り 熱殺菌?消毒?も的を得ない治療方法だと認識しております。 アース棒(?)は、レザー治療かな?それとも低周波による鎮静効果を狙った処置かもしれません。 私の根管治療の理論からは無縁な器材のようですので、詳しいことは分かりません。
 お伺いした状況からは、根管充填はおろか一段落とは思えませんが実際の状況を診るまでは何 ともいえません。

 治療回数については、早ければ全てが1日でメドが立つかも知れませんが、かなりの仕事量に なりますのでお約束できるものではありません。また、逆に根尖部の掻爬などが必要と判断される ケースを想定すると、4・5回の通院が必要になることも考えられます。
 レントゲンの品質については、現像液を1週間〜2週間使いますので、1枚のレントゲンだけの判 断は診断ミスにつながります。治療にあたっては、大きなレントゲン(1枚)と複数枚の小さなレントゲ ン(デンタル)を参考にします。

 新幹線につきましては、大阪で乗り換えるか、岡山行き(時には広島)が1時間に1本程度ありま すので、それに乗れば乗り換えなしでも大丈夫です。あまり色々と悩む前に一度相談に来てくださ い。


診断:
 右上7番からは排膿がありましたが、根管内の清掃は十分でした。上顎洞炎の排膿路になっている 様子で、少なくとも今の上顎洞炎の原因ではなさそうです。一方、根管治療中の右上5・4番の根尖に は根尖病巣らしきレントゲン像がありましたが、根管内の清掃が不十分でした。この2本の歯が上顎 洞炎の原因であるかどうかは定かではありませんが、根管治療が上手くいけば回復するものと思わ れます。
 案外怪しいのが、以前から痛みを訴えていらした6番です。根管の一部が閉鎖されていましたが、 思ったほどの根管内汚染は確認されませんでしたが場合によってはこの6番が上顎洞炎の原因で あった可能性もあります。

報告:
先日は長時間診ていただきありがとうございました。実家にずっとおりますので、メールができずお 礼が遅くなってしまって申し訳ありません。経過をご報告致します。
4番5番  痛みなし。
6番    3日間痛みあり。(私が治療中一番痛がったところ)  歯ぐきがややはれた。
7番    痛みほとんどなし。  今日歯の中(空洞)が少し痛みました。
歯痛というより、なんとなく鈍痛がし、左首リンパのはれが気になります。あれから風邪をひいてし まい調子がよくないのかもしれません。
先生の根管治療は本当に徹底的に掃除をしているという言葉がぴったりでした。感謝しています。

もうひとつ先生に教えていただいた充填のこと。綿密に歯根の先の部分がふさがれていれば、歯 のなかには空洞があったり、細菌等が入っても問題ないのでしょうか?例えばつめてある綿とか。
耳鼻科にいってきました。治りかけのようで週に2度通院するようにとのことです。薬を飲むように いわれています。
今後の治療はどのようになっていくんでしょうか?
ご教示ください。宜しくお願い致します。

  回答:
 根尖が綿密に封鎖されていれば、必然的にほとんど空洞を作らないと思います。また、空洞など できるだけない方が望ましいことは言うまでもありません。しかし、実際に空洞があったとしても根尖 方向からの体液浸潤はないわけですし、咬合面方向からの浸潤に対しては後日補綴物を装着します ので問題は起こりません。また生体組織に全く触れない空間ですので細菌の存在は問題になりませ ん(勿論少ないに越したことはない)。

 開放した7番は、できることなら耳鼻科的治癒を待って閉鎖(根管充填)を行いますが、開放状態の ために耳鼻科的炎症(上顎洞炎)が治癒しきらない場合には先に閉鎖することも考えられます。一応 の目安は、約2週間程度ではないでしょうか。

上顎洞炎 上顎洞炎 上顎洞炎 上顎洞炎 上顎洞炎 上顎洞炎 上顎洞炎 上顎洞炎 上顎洞炎 上顎洞炎 上顎洞炎 上顎洞炎 上顎洞炎 上顎洞炎