“寿命は半永久的”というのはなかなかの殺し文句。
保険/保険外の前歯

日付、時間:Tue Jan 9 11:57:33 Japan 2001    氏名: R   
所在都道府県:千葉   職 業:主婦   年 齢:32歳      性別: female  

質問:
8年ほど前、前歯4本をラミネートベニアにしました。昨年末、右上部の側切歯のラ ミネートベニアがかけてしまい、近くの審美治療をしている歯科でみてもらったところ、「前歯の 裏側に虫歯があるので、そこを治療したあとラミネート(9万円)しましょう」ということになりまし た。
 その先生によるとラミネートは5年もてばいいほうで、8年もったのだから、虫歯も原因になっ ているかもしれないが、ラミネートの寿命でしょうといわれました。8年前にラミネートにしたころ は、ラミネートの寿命は半永久的と、そのときの先生に聞いていたのでおどろいています。
 5年持てばいいラミネートを9万円で入れるのが惜しく、私は保険内のものでと考えていたので すが、保険内のものだと削る量が増える、自分の歯はできるだけ残したほうがいいとのこと。た とえば保険内のもので5年ごとに取り替えるとして、その都度歯を削ったりして、歯にダメージが あるのでしょうか?河田先生はどうお考えですか?悩んでおります。何卒よろしくお願いします。

回答  “寿命は半永久的”というのはなかなかの殺し文句で、メタルボンドを勧める際にもよく使われて いるようです。確かに補綴物そのものの光沢などは、歯さえ健全な状態が保てれば生涯使える 可能性はあります。しかし現実の問題として、破折はともかく二次カリエス・歯髄壊死・根尖病巣・ 歯周疾患など強敵が一杯待ち受けている環境で、生涯はおろか10年も使えれば御の字ではない でしょうか。保証期間云々は別にして、5年保てば製作した歯科医も責任を果たしたという認識 です。

 保険の前歯が一応5年程を一つの目安に考えていますが、それ以上使っているケースも多く、 金額的なことを考えてもそれなりに十分(本当はメタルボンドの保険適応を望む)と思っております。
 削除量については、少ないに越したことはないのですが、それが金額的なデメリットを越えるかどう かは個人的な価値観によります。若い時に求めた審美性のツケを払わされる結果になってしまいま したが、その代わり8年間は多少なりとも優越感を味わったことを差し引いて今後の対応を考えて 下さい。

 歯に与えるダメージはあまり考慮の対象にはなりません。それは、保険外のものだと作り替えが ないことを前提とした発想ではないでしょうか。保険外のものであっても、ムシ歯や歯周疾患が進行 して数年後には作り替えた方が望ましい状態になっているはずです。その時に、かたくなに治療を 拒絶したとすれば、削って与えるダメージ以上に歯の崩壊を早めてしまいます。

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