穿孔の処置としては最後の切り札的な手法ですが…
予後不良歯は再植

日付、時間:Thu Jan 11 15:39:19 Japan 2001    氏名: N.A   
所在都道府県:長崎   職 業:会社員   年 齢:36歳      性別: female  

質問:
こんにちは。ここ1年数ヶ月歯の治療で悩みはてています。今一番困っているのは 右上5番です。神経を抜いていない歯でした。右上6番抜歯後、右上7番と仮歯にしてブリッジに したところ、しばらくして痛みを感じ、神経を抜き、根の治療を3,4回続けても痛みがひかなか ったため、再植(と私が通っている歯医者さんはおっしゃいます)しました。がその後も 痛みがひかず3ヶ月半たちました。
 痛みは、息を吸うとヒリヒリと骨の中が痛み、歩くとなんだかひびく感じがします。手術前はそ の歯の歯茎を押さえるととてもいたかったのですが、術後、それはきれいにひきました。ただ、 骨の中の痛みが消えないという感じです。痛みがひかなければ抜歯といわれています。 それしか方法はないんでしょうか?
 その先生に言われると私は痛みがとてもでやすいらしいです。普通根の治療をすれば痛みが 消えるところが痛みがひかないようです。これ以上絶対に歯を抜きたくはないんですが。ところ で先生の病院の所在地はどちらなんでしょうか?近くであれば直接会ってお伺いしたいところ なんですが。私は長崎在住です。

メールアドレス: at04281@nsmw.mhi.co.jp   ホームページURL: http://

回答  再植ですか?
大きな根尖病巣があったり、 穿孔の閉鎖に、一旦抜歯して手元で 根管処置をし、病巣を掻爬したのちに再び元の場所に植えるという術式があります。おそらく そのような処置だったと思います。穿孔の処置としては最後の切り札的な手法ですが、根尖病巣 の処置としては間違った…というか余程のことが無い限り避けたい術式です。
 例え処置が上手くいったとしても、再植歯の寿命は5年が一つの目安だからです。

 さて、術式の可否はともかく、処置が適切に処理されたならば順調に回復して痛みを残さない ものです。3か月経って痛みがあるということは、上手く処理されていない可能性が高いように 思います。
 根管治療に問題があれば根管治療、穿孔だったとすれば改めて穿孔の閉鎖を行うことで快方 に向かう可能性はありますが、詳しい状況把握ができません。

 私の医院は、兵庫県ですのでちょっと遠そうですね。


返信:
1月10日(昨日)「右上5番を再植したけれども3ヶ月たっても痛みがひかず・・・」とメールした者 です。早速のお返事ありがとうございます。こんなに早くお返事頂けると思っていなかったので感 激です。

大きな根尖病巣があったり、 穿孔の閉鎖に、一旦抜歯して手元で根管処置をし、病巣 を掻爬したのちに再び元の場所に植えるという術式があります。おそらくそのような処置だったと 思います。

 術式としてはまさにその通りだと思います。根に薬を入れた後、ヒートカッター(と聞こえました)で 焼き切って歯を戻してもらったようです。ただ、「大きな根尖病巣」はありませんでした。レントゲン上、 なんの影もない状態でした。実際抜いてみて見てみて、根の先に1、2mm炎症があるかな?といっ た程度だったそうです。だから病巣を掻爬という処置はなかったようです(私も手術の際、その処置 をされている様子がないな、と思ってました)。「なんでこんなに痛みが出るんだろう???」と思いな がら戻した、との先生コメントです。ただ、私は他の歯の治療をしても痛みがなかなかひかないという ことが続いていたので、その歯については根治を3、4回でやめて再植という処置にされたようです。
 再植歯の寿命は5年が一つの目安と聞いてショックです。そういう説明はありませんでした。実は 右下7番と右上7番は既に再植しており、順調に回復しました。その歯は右上5番と違って、約12年 前に神経を取ってクラウンにしていた歯で、抜いてみると根のまたに膿みがたまっていた状態だっ たそうです。それで膿みを取って再度植えてもらいました。再植歯の寿命が5年が一つの目安と聞い てショックですが、膿みがたまった場合、再植せずに治すというのは可能だったのでしょうか?また、 5年たつと身体にとって異物となってしまう可能性が高いということなんでしょうかね。移植した歯も 同じことなんでしょうね。

 根管治療と穿孔(根の先の穴のことですか?)の処置の違いがよくわからないんですが、私の場 合は、一度再植しているわけですが、再植を再度行うことになるんでしょうか?そんなことできるん でしょうか?
今のかかっている先生の話では、根が死んでいる状態でない限り歯根膜は再生するので根が死ん でいた?との疑いもなきにしもあらずというところですが、とてもそんな状態ではなかった(状態はよ かった)とのこと。他の再植した歯との症状の違いは、唯一「熱いものがしみていた」ことです。再植 する前日から熱いものがしみるようになり、再植した後ひどくなりました。1ヶ月ほどで感じなくなりま したが、どうも鈍痛にかわっただけではないか?と最近気付きました。先生のHPで熱いものがしみ るのは歯髄炎末期とありましたが、どうしてもその歯がしみていた(いる)としか思えません。ちなみ に隣の4番は削っていますが神経はとっていません。今の先生は4番ではないかとおっしゃっていま したが、4番をいじっていないのに突然しみるようになったことと、どうも歯がしみているというより骨 の中がしみているという感じがするところより、5番だと思えてなりません。4番はインレーに約12年 前にしておりましたが、先日インレーを新しくしてもらいましたが、虫歯の進行も見られず、別に痛みは 治療前も後もありません(自分で気付いてないだけでしょうか???)

 実は左下4番も来週再植する予定になっております。再植歯の寿命を伺ったのと、右上5番の経過 がよくないので不安になっています。おまけにその歯は根が「くの字」に曲がっており(先生弁)抜くと きに割れる可能性があるので割れた場合は左上8番を移植と言われています。左上8番は親知らず にしてもめずらしく、大きさが小さく、根っこが曲がっていて丁度左下4番とそっくりなんだそうです。 左下は5番が歯烈から舌側へ大きくはみでていた状態だったため、前の歯医者さんで「抜きますよ 」の一言で抜かれました。今の歯医者さんは「歯の冷凍保存もできる」とおっしゃっており、「もったい ない!!」とくやしい気持ちでいっぱいです(右側には上下あわせて親知らずが3本もあったのに同 じ歯医者さんで抜かれました。きちんと生えており、抜かなければいけないほど虫歯になっていたこ とはなかったのでそれも同じく、もったいなかったと思っています)。
 それで左下は4番がなくなると小臼歯がなくなってしまう状態になってしまうので必死なんです。(右 上の方がもっと大変な状況ですが・・・。すでに6番はなく、7番は再植でなんとか残した。5番がなくな ると、どうなるんでしょう・・・)。インプラントも打てればやりたいんですが、今の先生からは右上6、7 番は骨がちょっと足りないと言われています。また、私は先生が首をかしげるくらい痛みが出る患者 らしく、「歯根膜炎だけでこんなに痛がるのにインプラントはもっと痛みが出るかもしれない」と心配さ れています。

先生の患者さんで、「根管治療して、膿みも止まってる、根がいたんでる様子もそんなにない、でもな ぜか痛みが止まらない!!」って方はいらっしゃいますか?
根管治療は治療期間ってどれくらいが目途なんでしょうか?今かかっている先生はだいたい1ヶ月を 目途にされているみたいです(数ヶ月も根管治療をしていると「歯根膜が死んでしまいます!!」とお っしゃっていました)。それで治らなければ歯根膜炎(のはず)→再植という方針のようです。頻繁に 再植やってらっしゃいますので。レントゲンには写らなくても抜いてみたら膿みがたまっていたという こともかなりあるようで。実際、私の右上7番はそうでした。

たくさん書いてしまいましてすみません。なにしろずっと治療に対する不安や疑問がたまっていたの で先生のHPを見つけて本当にうれしくて山のように書いてしまいました。ご迷惑でしょうがアドバイス よろしくお願いいたします。やっぱり私の地元(長崎)のお医者さんの紹介ってして頂けないんでしょ うか・・・?先生のところは一回くらいは伺えると思いますが「通う」には遠すぎます・・・。こんな治 りの悪い患者は先生の方でもご迷惑かとは思いますが(笑)。

回答:
 再植がお好きというか、相当な自信をお持ちの先生ですね。日本中でもかなり異質な存在では ないでしょうか。再植歯の予後については、私よりも多くのことを知っていらっしゃると思います。 根管治療の見込みがない歯に関しては、“奥の手”として十分臨床意義はあると思います。ただし、 “奥の手”を使いすぎという印象を受けます。
 基本的には根管治療で全ての?歯を治癒に導くことが可能です。“くの字”に曲がった根のように 根管治療がどうしても不可能な場合は選択肢として十分考えられますが、そうでない歯については もっと根管治療を徹底していただきたいと感じます。

 根管治療に関して、私の医院では“即日充填(1日で根管拡大→根管 充填)”が原則ですので、何ヵ月が目安というものはありません。通常、治療後3日程度は浮いたよう な痛みがありますが、1週間程で治まります。それ以上長引くものについては2週間以上様子を見て、 根管充填に問題があるものとして再治療を試みます。
 “根管治療して、膿みも止まってる、根がいたんでる様子もそんなにない、でもなぜか痛みが止まら ない”ケースは再治療を行ってみるとほとんどが根管の見落としや根管充填に問題のあります。

 再植は2回できないかも知れません。といいますのが、通常、歯と歯槽骨は歯根膜という繊維性の 結合ですが、再植した場合歯根と歯槽骨が直接結合(骨性癒着)する可能性があるからです。従って 抜歯にあたって綺麗に抜けない可能性があります。
 無髄歯部分の熱いものが滲みる件については、歯の周囲に炎症があると、例え無髄歯でも滲みる という感覚は十分考えられます。


診断:
 すでに再植した右下7番・右上7・4番は、根管充填の予後と伴に良好のように思えました。 4|の痛みは、数か月に及ぶ仮歯による歯肉炎ではないでしょうか。治療した左下が 落ち着き次第、仮歯を除去して経過をみた上で、最終的な補綴物を装着すれば落ち着くように 思います。

 抜歯覚悟の再植を予定していた|4 は、根管充填の不足による根尖病巣と厄介なことに、遠心側中ほどの屈曲部分に穿孔があり ました。根管治療及び根管充填、ならびに内部からの穿孔閉鎖を試みてみました。
 根管充填時に穿孔部分へ根管充填材がかなり漏出したようですので、術後の腫脹・疼痛は ちょっと大きく、若干長引くかも知れません。根尖部の炎症は遠からず治まるものと思われます が、穿孔部分に関しては穿孔閉鎖の状況によって左右されます。何分口腔内で、しかも内面から の閉鎖ですので十分な閉鎖が行われたかどうかは分かりません。というか、術後の結果が閉鎖 の良し悪しを教えてくれるはずです。

 順調に回復すれば問題はないのですが、穿孔部の状況によっては、歯肉剥離による口腔内 閉鎖か再植による口腔外閉鎖を追加処置として検討しなくてはなりません。

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