患者さんにとって“意外なこと”が医療不信や訴訟の対象になる。
知覚麻痺10ヵ月

日付、時間:Wed Mar 21 12:35:08 Japan 2001    氏名: RM   
所在都道府県:神奈川   職 業:会社員   年 齢:44歳      性別: female  

質問:
よろしくお願いいたします。
質問@
昨年の5月31日に右下の親知らずを抜きました。その時、麻酔の注射が原因なのか、抜いた時 の影響かはっきりした原因はわかりませんが、右下の犬歯を中心に右下全体の歯茎と唇やその 周りに痺れが残ってしまいました。始めの2ヶ月位は、触っても殆ど感覚がない状態でしたが、徐 々に感覚が出てきて、現在は触るとビビーンと響くような状態になりました。当初このような状態に なった人が回りにいないので、先生のホームページを拝見し、希にこのようなケースがあることを 知り、安心はしましたが、何しろ、10ヶ月も治らないと、このままの状態がいつまで続くのか、果た して完治しないことはあるのか、その場合患者としてはこのまま我慢するしかないのでしょうか。
質問A
このような理由で右側の調子が悪かったので、ずっと左側で噛んでいました。そのせいかどうかわ かりませんが、2週間程前から左側で噛むと、噛んだ後の感覚が普通の状態ではなくなってきたの です。カチカチと石を噛み合わせているような変な感覚で、食べ物の味も左側で噛むと味があまりし ないのです。おいしくないのです。場所ははっきりわかりません。左側としかわかりません。上なのか 下なのかもはっきりわからないのです。歯茎は痛くもないし、腫れてもいません。左側に負担がかか りすぎたせいかもしれないと、今はなるべく右側でも噛むようにしていますが、今、左側の状態は何 故このような状態になったのか、わかる範囲でご推察いただければ助かります。 よろしくお願い申し上げます。

ご意見・ご感想:
以前にも質問させていただきました。このようなサイトがあると非常に助かり ます。

回答  患者さんにとって“意外なこと”が医療不信や訴訟の対象になる傾向があります。その意味で、 術前に何処まで説明がなされていたかということが一つの焦点になります。とはいっても、術前 に予想される事柄を全て説明することにも限界があります。
 抜歯後腫れたり痛みがあっても、ある程度の範囲は当然のことと受け止められ決して医療不信 や訴訟の対象になることはないはずです。それは、患者さんにとっても予想できる抜歯後の経過 だからだと思います。“下顎智歯抜歯=麻痺”も同様に専門家の間では十二分に想定されること です。
 解剖学的位置関係から、下顎神経に全く傷つけず抜歯することは不可能です。現実には少々の 傷で麻痺が起こるのではないと思います。反面注射のわずかな刺激でも麻痺が起こることもある ようです。従って余程の重大な過失がない限り医療事故として扱われることはありません。

 下顎智歯抜歯に際しては、腫脹・疼痛と同様に麻痺というリスクがあることを承知の上で処置を 行うことが必要です。その意味で術前の説明が重要といえます。インターネットの普及によりある程 度そのような情報が入手可能となってきましたが、今後ますます普及して、知識や経験の共有、更 にリスクの共有が図られて円満な治療が行われることを望みます。

 左側の違和感については、歯石沈着・歯周疾患進行・根尖病巣などに該当する歯があると思い ます。レントゲンをみるとおおよそのけんとうがつくのではないでしょうか。逆にいえば、レントゲン 的に異常のある歯が炎症を起こした結果“歯が浮いた状態”みたいになって違和感を呈している と思われます。

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