日付、時間:Wed Mar 28 22:21:51 Japan 2001
氏名: K N
所在都道府県:埼玉
職 業:主婦
年 齢:33歳
性別: female
質問:
こんにちは。初めて相談いたします、よろしくお願いします。2年くらい前に、左上の
第1臼歯にかぶせてあった銀が取れてしまって、今お世話になっている歯医者に持っていたの
ですが、その時に「その歯の根がもうダメになっているけれど今は隣の歯の治療をしたばかり
で、治療しても保険の関係で隣の歯とはブリッジがかけられない」とのことでした。「今回は又
つけて、今度取れたときに考えましょう」と言われてそんなものかと納得し、最近まで過ごして
きました。
ですが、先月頃からにおいのする黄色い鼻水が左の鼻から出てくるようになって、耳鼻科に
行ってみたところ副鼻腔炎とのことで、抗生物質を10日間くらい服用しました。しかし臭いは
なくなったものの黄色い鼻水はいっこうに改善されず、もしや、と思い歯医者を再び受信しまし
た。歯医者でレントゲンを撮ってみたところ、やはり原因は2年前の歯の根っこで歯茎の上に
膿の袋が出来ていて入院して手術をしないと治らないと言われてしまいました。そこの歯医者
では無理なので大学病院の先生が来る日まで待って、その先生と相談して下さい、とも言われ
てしまいました(月に一度、口腔外科の先生が来る日があるそうです)。なんだかびっくりしてし
まって、手術も全身麻酔でだいたい2週間くらい入院しないとダメだというのです。その膿の袋は
薬では絶対に取れなくて、とにかく手術しかないと言うことで、抗生物質は以前から服用している
ので、もう効かなくなっているだろうから飲まなくてもいい、痛みがあるときだけ痛み止めを飲む
ように、炎症が治まらなければ、点滴で治すしかないとも言うのです(炎症を治めないと手術も
できないそうで)。
なんだかそんな大事になっていたとは、ただただびっくりしてしまって、今はどうしたらよいかわ
からない状態です。なんで2年前にかぶせたものが取れたとき根の治療をしてくれなかったのか
先生に対する不信感も拭いきれません。紹介状を書いてくれているわけでもなく、今は口腔外科
の先生が来るまで待たされている状態なので、ほっておいてもいいものか、の不安もあります。
疲れたりするとひどく痛みます。
私はやっぱり手術をしないとダメなのでしょうか?
耳鼻科の先生は抗生物質は飲んでいた方がいいと言ってくれて、一応今も消炎剤と弱い抗生
物質は飲んでいます。小さい子供もいて2週間も入院するのは本当にきついです。是非先生の
ご意見を聞かせて下さい。
ご意見・ご感想:
こんなページがあるなんて、見つけたときはとても嬉しかったです。ネットを
やっていて良かったです、本当なら遠くてとてもご相談できる事はないと思うので。よろしくお願い
いたします。
メールアドレス: kenchan@mxm.mesh.ne.jp
ホームページURL: http://
結果的には、隣の歯を治療する時点で「第一大臼歯は根がもうダメになっているので抜歯して
ブリッジにしましょう」というのが保険規則上正しい方法だったといえます。
その時点で患者さんが抜歯に同意しなかったら…とか、抜歯を宣言した歯が2年以上保ったら
…という事態は保険規則では想定されていません。実際問題、その時点で抜歯の必然性を説明
して患者さんの理解を得るのは難しいケースが多く、時としては誤診の危険すら発生します。
決定的にダメと自覚した時点での抜歯は決断し易いと思いますが、患者さんに全く自覚症状が
ない時点での抜歯は難しいと同時に信頼関係にも影響します。従って隣の歯を治療する時点で
抜歯の話をもちだすことがないのが普通です。
その結果“銀が取れて”みたいな事態になった時の対応が「保険の関係で隣の歯とはブリッジが
かけられない」という会話になってしまいます。厳密にいえば保険でブリッジができないわけではな
く、治療した歯科医へのペナルティーとして、無料で保険のブリッジを作らなくてはならないという
規則です。歯科医の立場としては、「1本分の治療費を頂いて、隣がダメになったからといって新
たに3本分を無料で製作しなくてはいけません」無論、手間・暇・材料費などまるまる大赤字です。
それでも抜歯が決定的であればあきらめもしますが、2年ほどもってくれれば通常の保険治療が
可能です。事実2年ほどもったわけですが、そうなってから抜歯すれば通常の費用で治療できる
可能性があると思えば「保たないものも保つ」と思いたくなるのは道理ではないでしょうか。
その時の判断を全て規則のせいにするのも問題がありますが、少なくとも純粋な医学的判断に
規則が介入していることだけは間違いのない事実です。
さて、問題の嚢胞ですが、大学病院の社会的地位からして2週間の入院はおおげさなようですが
“万全を尽くして間違いのない治療”という観点から半ば仕方のないセレモニー的な意味合いもあり
ます。発見の経緯から単純な歯根嚢胞と分かっていても、もし悪性の癌だった場合にも対応できる
体制で手術に臨むことを義務付けられているからです。
薬の服用については、消炎の観点からは服用継続が望ましい反面、長期服用による副作用を考え
ると緊急でない今は“お休み”しておいた方が得策という判断もあります。どちらの判断が正しいかは、
結果が教えてくれることで、現時点で的確にアドバイスすることは出来ません。
回答:
望ましい治療方針だと思います。何といっても医療の原点は原因の除去ですので、原因である歯
を抜歯すれば速やかに回復するものと思われます。可能性とすれば90%抜歯と洗浄だけで治癒
すると思います。ただし絶対はあり得ないので、将来の手術に含みを持たせるのは当然の説明と
いうか適切な対応だと思います。
その間の支障については、“鼻に水が入る”といった若干の不快症状が予想されるものの実質的
な支障というものはほとんど存在しないことが多いように認識しています。