我々がコントロールできるのは、歯磨きを始め定期的なスケーリングなどの手入れ。
ミュータンス菌の感染

日付、時間:Wed Apr 18 10:34:51 Japan 2001    氏名: M.K   
都道府県名:新潟   職 業:主婦   年 齢:30歳      性別: female  

質問:
6ヶ月の男の子(下の歯がのぞいてきました)を持つ母親です。よろしくお願いします。 生まれてから本人以外の唾液との接触を避けており、両祖父母にもお願いしていましたが、と うとう義母にやられてしまいました(口の中でかみ砕いたものを与えられてしまった)。 河田先生は質問の回答に「無菌ではいられない」とおっしゃっておりますが、なるほどそうである としても以下のことをお尋ねしたいと思います。

  1. 1回だけわずかな量の菌でも定着し、増えていってしまうのか。
  2. ミュータンス菌があっても虫歯にならない人はいるのか。
  3. ミュータンス菌は空気感染するのか。(離乳食を冷ますのに「ふーふー」と息をかけただけで もうつるのかこれは他のホームに書いてあった)。
義母は59歳ではじめて虫歯となり歯科医院にかかった人です。我が子の顔を見ると思い出される、 「おばあちゃんの口移しのものを食べた」という現実が、とても悔しく腹が立って子供に冷たくあた ってしまいそうになります。どうか、この3点についてご回答よろしくお願いいたします。

ご意見・ご感想:
不安でインターネット内を探していましたところ、先生のページに出会えました。 日々の診療でお忙しい中、本当にありがとうございます。

メールアドレス: jzh04262@nifty.ne.jp   ホームページURL: http://

回答  胎児は母親の胎内において無菌状態だと言われています(本当かどうか少し疑問に感じています)。

 お産に際して、産道を通っている時から種々の微生物に触れ、長い微生物との共存生活が始まり ます。その中でも有名な大腸菌などは共存の代表選手といえます。それ以外にも…要するに大人が 保持しているあらゆる微生物との共存生活です。
 微生物の中には一見有害だと思われているものもいますが(ミュータンス菌も?)、実はそれらを 利用して生きていることって結構多いと認識しています。場合によっては、有害な微生物なんて 一つもないかの知れない…。

 有害なものを排除しようとするのは西洋的な発想です。それに対して有害ではあるけれども、 それらとも共存して生きていこうというのが東洋的な発想ともいわれています。近年は西洋的 な発想の反省から東洋的な発想を取り入れようとする傾向にあります。その意味では特定の 細菌(ミュータンス菌)だけを排除することは不可能→無意味だと思っています。
 動物の生態系がそうであるように(無人島にたどり着いた動物は、その環境に応じた数だけ 繁殖するように)、人体に取り付いたミュータンス菌も環境に応じた数だけ増殖するものと思わ れます。おばあちゃんの口移しだけを敵視しているようですが、「ふーふー」だけでも結果は同じ だと思います。

 元来私は、世間で言われているようにミュータンス菌だけがムシ歯発生要因ではないと思って いますので、そのような方法ではムシ歯を抑制することは不可能と思っています。ミュータンス菌 がいても(全員にいるはず)ムシ歯の発生しない人がいるのは、歯質や体質・生活様式・勿論手 入れなどが係わっていると思います。我々がコントロールできるのは、歯磨きを始め定期的な スケーリングなどの手入れ部分だけではないでしょうか。50年対応の手入れしかしていない現 状ですので、80年対応の手入れ方法を取り入れれば十分満足のできるコントロールが可能だと 思います。

ミュー タンス菌 ミュー タンス菌 ミュー タンス菌 ミュー タンス菌 ミュー タンス菌 ミュー タンス菌 ミュー タンス菌