日付、時間：Mon May 14 23:09:08 Japan 2001 　　 氏名： Y.J　　　
所在都道府県：北海道　　 職　業：学生 　 年　齢：21歳　　　 　 性別：　female　　

質問：
症状に関する質問ではないんですが。私は北海道の大学生です。今度，研究室で 行うゼミで，レーザー技術を取り扱うことになりました。個人個人が自分の興味あるレーザーの 応用について調べてプレゼンテーションおよびディスカッションをするのですが，私はとりわけ医 療分野へのレーザーの応用について興味を持ち，調べています。
　貴院では，レーザー技術を取り入れて効果的なしか治療を行っていらっしゃるようですのでぜ ひともお訊きしたいのですが，ホームページのどこかに，「レーザーを照射すれば歯の強度が ６倍程度上がる」「レーザーを照射するだけで，口内炎などの痛みが取れる」という部分があっ たと思うのですが，なぜレーザーを照射するだけで歯が強くなったり，炎症が引いたりするので しょうか。もしもメカニズムが解明されていないのであれば，どうか先生のお考えをお聞かせくだ さい。よろしくお願いいたします。２００１年５月１４日　Y.J

ご意見・ご感想：
貴院のホームページは，技術や寄せられた質問を公開したり，一般人には なかなか触れる機会がない専門的な知識を惜しみなく与えてくださったり，患者にとってとてもあ りがたく，ためになるホームページだと思います。
　私がこれまで出会った歯科医の方は，技術や症状を患者にきちんと伝えてくれない方が多かっ たので，こういうページの存在は本当にありがたいです。どうかこれからもがんばってください。

メールアドレス： jintoku@elsie.fish.hokudai.ac.jp　　 ホームページURL： http://

　歯科医の考えるレーザーの効果と医者の考える効果には少し違いがあるようです。レーザーの 効果は、医学部系では“熱効果”だけを期待しているのに対して、歯学部系では“熱効果+パルス 効果”を期待しているようです。
　このパルス効果は、レーザー照射時に強弱をつけることにより針麻酔的な効果を期待するもの であり、反対に得られた効果を東洋医学的な見地から説明しようとする方向です。　また歯科領域 では、熱作用によって得られた効果を熱による殺菌作用としてとらえる傾向が強く、“殺菌作用+つ ぼ刺激作用”で説明しているケースを多く見受けます。

　個人的には、針麻酔的効果を否定するわけでもありませんが、主たる効果は熱作用によるもの と考えています。逆にいえば、得られた効果を熱作用によって説明可能（理解可能）だからです。 また熱作用についても、殺菌作用を否定するわけでもありませんが、熱によるタンパク質（有機質） 変質や蒸散作用による効果と位置付けております。

1. 「レーザーを照射すれば歯の強度が６倍程度上がる」
   “６倍程度上がる”という記述があったかどうか記憶にありませんが歯質強化の効果はあると思い ます。歯質…とりわけ象牙質は無機質65％・有機質（+水分）35％といわれています。レーザーを 照射することにより、この35％の有機質を蒸散させれば炭素が残ります。この炭素が周囲に存在 するリンやカルシウムを取り込んで石灰化を更新して、エナメル質（無機質99％）同様に有機質を ほとんど含まない象牙質に変化すると考えています。
   その結果、ムシ歯や歯槽膿漏に抵抗力のある歯になるのではないかと…。
2. 「レーザーを照射するだけで，口内炎などの痛みが取れる」 そんな記述ありましたか？でも実際に効果は得られます。歯科的には殺菌作用という解釈かも しれませんが、私はやはりタンパク質の変質によると解釈しています。口内炎の一般的な治療 方法として、薬物によって表面を焼きます。表面が刺激に対して非常に敏感なために激しい痛み を感じます。表面を薬剤（硝酸銀など）で焼くことにより、偽膜を形成して外来刺激を遮断して痛み を和らげて治癒を促進していると解釈されています。
   レーザー照射もこれと全く同じで、表面のタンパク質を焼くことによる効果だと解釈しています。

返信：
昨日質問のメールを差し上げた北海道の大学生です。早速のお返事，本当にありがとうございま す。大変わかりやすく書いてくださったので，何とか問題を解決することができそうです。 本当にありがとうございました。私は現在虫歯があるのですが，河田歯科に行けないのが残念で す。
それから，
>「レーザーを照射すれば歯の強度が６倍程度上がる」 >“６倍程度上がる”という記述があったかどうか記憶にありませんが
すみません，これは私のミスで，他の歯科関係のホームページにあった記述と混同してしまいました。 お詫び申し上げます。