日付、時間:Wed May 30 12:01:47 Japan 2001
氏名: S
所在都道府県:東京
職 業:その他
年 齢:29歳
性別: female
質問:
毎回の質問で申し訳ありません。その後左上2番ですが
痛みは変わらずというかますます色々な痛みが出てきました。痛みは依然より強くなっており、
鈍痛、しみる痛さ、ちくっと刺されるような痛み他があります。時間が経つにつれて痛みが
増すというのは治癒の方向にむかっていないのではないかと不安ばかりです。
5/25に大学病院で左上のレントゲンととってもらいました。病巣の影ですが1ヶ月前にとった
レントゲンと比べて大きさはかわらないようですが、色が黒くなっているように見えました(シー
ラーの点はまだそのまま)。これはあまり良くない方向なのでしょうか?
今、5/25に新しく作り替えた仮ブリッジをしています。左のポストは前のものより短いです。前
より頑丈に装着されていますが、食べ物等が逆流しているのか、それとももうこの歯じたいが
もうだめなのか、どうしてこんなに痛いのか不安で仕方ありません。今現在、歯茎に膿は出て
いませんが、まだ治る過程の痛みと考えるべきですか?
また右の歯も痛くて物は噛めません。前回5/23に質問した根元が黄色になっているというの
は虫歯でも歯周病でもないといわれました。だとしたらこの痛みは何なのでしょうか。左の歯は
どういう状況になったら見切りをつけるべきですか。このままにしておいて犬歯にまで影響する
のではないかと思うと気が気ではありません。
良くない報告ばかり何度も申し訳ないのですが、少しでも精神を安定させたいのです。一度ブリ
ッジをやめて部分入歯にして様子を見る方がいいですか?大学病院の次の予約は今週の金曜
日です。悪い痛みからは早く開放されたいのです。何かするべき治療がありましたら教えて下さ
い。よろしくお願い致します。
本当に良くない報告ですね。
普通より治癒が遅いことを割り引いても、今時痛みがあるということは炎症を起こす原因が
存在しつづけているということです。根管充填が不十分なのか(1か月後に確認はしましたが)、
過去のアパタイトが異物として大量に残っているか。少量ですと少しづつ排出されて自然治癒
もありえます。“シーラーの点”も2か月経って消えないということは、逆根充に使用したアマル
ガムの残存のようですね。これについても炎症の原因とはなり得ますが、あの少量では問題
にならない量だと思います。いずれ貪食(どんしょく)されて自然吸収するか排出される範囲の
量に思えます。
レントゲンの濃淡については、現像状態に大きく左右されますので何枚か時間経過順に並べて
みないと判断はできません。長年の仮歯装着にも問題があります。これは結構痛みの原因で
あるケースが多く、案外根尖部の病巣と区別がつきにくいこともあるようです。もう少し経過を
みて、あとで除去し易いコアを選択して保険内での補綴処置を行ってみるのも選択肢です。
3ヶ月ですね。「やることはやったから必ず治る。もう少し…」と言いたいところですが、さすがに
3ヶ月経って一向に回復しないとなると、何か必ず原因が残っているといわざるを得ません。
根管閉鎖(根管充填)か病巣内の異物、さしずめアパタイトというところに焦点が集まります。
根管充填については再度確認していますので問題なかったと思っています。歯根端切除ではなく
もう一度根尖部の徹底掻爬を行ってアパタイトを始めとした異物(根充材?)などを取り出せば
回復する可能性もあります。いずれにしてもこの2つのいずれかのはずです。
大学病院でもう一度掻爬してもらえないものでしょうか?
それとも根管充填からもう一度やりなおすか?
回答:
“何か他の病気”ねぇ。癌のようなものに発展する可能性はありませんが、進行速度が速い場合
には(現在は停滞もしくはわずかに進行?)、上顎洞炎に発展する可能性はあります。ただしその
場合は原因歯の抜歯、および今回は残っているであろう根尖部の異物を排除してやれば治癒する
はずです。完全治癒ではないにしても、もう少し痛みが治まって進行が停滞しているようですと最終
補綴物を装着して一旦治癒に持ち込みたいのですが、どうも今の状態では許してくれそうにないよ
うに感じますね。
歯牙保存の可能性を追及するなら、先日申し上げた通り、再掻爬や再根治を行うことも有効だと
は思いますが、度重なる治療により状況の悪化と「ここまでやってもダメ」という経緯から望みは
だんだん低くなっています。
問題は、上顎洞炎のような具体的な疾患ではなく、精神的な疾患(失望)の方が大きくのしかかっ
ている点だと思います。抜歯してインプラントをするかブリッジにするかは別にして、それらの処置に
もそれぞれのリスクがあります。それらを総合的に考えて抜歯を判断しなくてはいけませんね。
ダメですか。ということは根管充填に不備があったものと考えられますのでもう一度同じ術式を
という選択枝も考えられますが、過去の経緯や精神的な負担を考えると抜歯もやむを得ない選択
だと判断します。
結果からみれば最初に抜歯を決断した方が良かったようにも見えますが、抜歯したらしたで
同じような悲劇を臨在歯に及ぼす可能性も高かったと思います。その意味で、歯牙保存にこだわ
ったことは間違いではなかった選択です。努力すれば必ず報われるというものでもありませんが、
最大限努力してもダメであったならば仕方のない結果かも知れません。
上顎前歯部のその辺の場所には、重要な神経は走行していませんので傷つけた云々について
は論外ですし抜歯して今以上の痛みが生ずる可能性というのは考えられません。元々の原因は
歯牙(根管治療)に端を発したことですし、今現在の痛みも根管治療にまつわるトラブルが原因だ
と思います。
術後も4か月辛抱強く経過を見られた結果ですので、今のままの延長線上には残念ながら治癒
は見込めないものと判断します。何か次の手をということで、文頭に戻った決断が必要な時期だと
思います。