上顎臼歯部ではそれほど稀なケースではありません。
上顎洞穿孔 U

日付、時間:Tue Jun 22 19:27:41 Japan 1999    氏名: K・H   
所在都道府県:北海道   職 業:会社員   年 齢:26歳      性別: female  

質問:
はじめまして。実は、今日親知らずの抜歯をしてきたのですが(右2本)、どうしても気に なることがあって、おたずねしたいと思いました。
とても痛かったのですが、下の歯がなんとか抜けて、「上の歯は5分位で抜ける」とのことで、しょう がなく抜いてもらうことにしました。割とすぐ抜けたような感じだったんですが、「あーーー!」という 声の後、なにやら、担当の先生が偉い先生に何か聞きに行ったようで、よく聞こえなかったんですが、 「粘膜を……傷つけた」みたいなことを言ってたと思います。
その時は何をやられてるのかわからなかったんですが、後の説明としては、「根が鼻に通じる骨の 空洞につながっていて、少し残ってしまった、のちのち骨になってくから、問題ないとは思うんだけど ……」みたいなことを言ってました。
確かに洗浄されたとき、息をとめないと、鼻に水が入ってきたような感じがしました。 でも、先生は何かを探していたような気もしました。これはどういうことなのかわからないし、 すごい不安です。何をされたのかわからないので、はっきり聞くことも出来ませんでした。 今のところ特に変わったことはありませんが、(痛みはやはりありますが)大丈夫でしょうか……。

ご意見・ご感想:
解答がとてもわかりやすくて、ここしかないと思いました。治療に関しては いったい何をやられているのかわからないし、なかなか聞けないんです。でも不安で……。 よろしくお願いします。

回答  元々、上顎洞と上顎臼歯部の根尖とは、骨一枚、場合によっては粘膜一枚で隔たっています。 上顎臼歯部の歯を抜いて上顎洞と交通してしまう(穴が開く→上顎洞穿孔)ことはそれほど稀な ケースではありません。“鼻に水が入ってきたような感じ”は明らかに上顎洞穿孔ですが、ほとんど 何の問題もなく、抜歯窩の治癒に伴って閉鎖してしまいます。稀に、“穴が開いたまま”になって しまうこともありますが、「上顎洞閉鎖術」(名前は物々しいがたいした手術ではありません)を 行えば比較的簡単に閉鎖しますのでこれも問題ありません。

 一方、歯を抜歯した際、根っこの一部が折れて抜歯窩に残ってしまうケースもあります。やはり、 残った残根を何とか取り出そうとして、ほとんど事無きを得るのですが、どうしても無理なケースも あります。しかし、幸いなことに、残った小さな根っこは吸収されてなくなるか、生体の一部として 骨の中に取り込まれて問題になるケースはほとんどありません(今まで一度も経験していません)。 おそらく、この両者が絡んで多少あわてふためいたものと思われます。

 一番最悪なのは、折れた根っこが上顎洞に押し込まれたケースです。これを“上顎洞迷入”といいます。 上顎洞の中でうまく吸収されて消失する可能性もありますが、上顎洞にいつまでも残って炎症を 起こしてしまう場合もあります。この場合には、“蓄膿”の手術同様に、上顎洞に穴を開けて迷入した 残根を取り出す必要があります。まぁ、取ればしまいですので、あまり大騒ぎするほどのことでは ないのですが、やはり余分な手術をもう一度しなくてはならない負担は覚悟しなくてはなりません。

 残根がどの位置にあるのかを確認して、経過を見守るしかないですね。おそらく、あまり問題 は生じないようには思いますが…。

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