歯磨きだけではダメ。定期的な歯石除去は必須です。
歯根吸収

日付、時間:10/02 TUE 18:22 Japan 2001    氏名: T.Y   
所在都道府県:神奈川   職 業:会社員   年 齢:30歳      性別: female  

質問:
はじめまして。HPを見させて頂き、私も先生にご意見を頂きたくメールさせて頂きます。 矯正の失敗による歯根吸収の事で教えて頂きたいので、宜しくお願い致します。
 約7年前に矯正を始めました(現在もまだ終わってません)。当時、特に上顎の中切歯2本が出 ていた(下顎前歯との間に1cm位間があったと思います)が気になっていて矯正したいと思ってお りました。下顎の歯列はそんなに悪いと思っていなかったので、抜歯は上顎の小臼歯2本は抜い たとしても、下顎は抜きたくないと言う気持ちがありました。
 矯正の専門医に検査をしてもらった結果、そこでは小臼歯4本抜くを言われたので、少し考えてい る間に、右下第2大臼歯が水にしみるようになり、一般歯科の歯医者に行き治療をしてもらおうと 思ったら、右下大2大臼歯は虫歯ではなく、早期接触の為しみていると言われました。 又、噛み合わせが深いと言われました。私は矯正をしようとしていたので、その先生に矯正をしよう と思っている旨を話したところ、その歯医者でも矯正をしているとのことで、しかも非抜歯主義で小 臼歯4本とも抜かずに出来ると言われ、矯正の専門医院ではなかったので迷いましたが、そこで始 めることにしたのです。その先生は、「1年で矯正は終わります」と言いました。歯を抜かずに1年で 終わるんであれば、治療費は異常に高かったのですが、ここでやろうと決めたのです。

 始めの1年位は院長先生が診てくれていたのですが、一般の治療の方が忙しいせいか、途中から は若い勤務医の先生に言葉で「ここのワイヤーをこうして・・・」という感じに指示だけして、実際に院 長先生が診てくれることはなくなりました。そして動かすと言っていた歯と違う歯が動いてきたり、素 人でも作用反作用の法則で先生の言うようには動かないとわかるような事を言ってきたり、不安に思 うようになりました。
 2年目位からは、上顎の歯と下顎の歯との間に隙間ができて、食物が噛み切れないし、硬い物は 全く食べれないし、首筋や肩、背骨、腰まで痛くなりまいた。それでも先生を信じて約3年は通いまし たが、矯正が良い方向にいっているという感じが全くなく、転医しようと思い始めたのです。
 何軒か矯正の専門医に相談に行きましたが、他の先生がやったのを途中からはやりたくないの か、「今の先生とよく相談して下さい」とほとんどのところで言われました。それで私も先生に質問をし てみたのですが、そしたら私が先生のやり方に不信を抱いているととられて、それから先生の態度が 変り、とても怖くイライラしている感じになり、もうこの先生とは良い関係が築けないと思いました。
 それで、他医院で失敗した矯正をやり直している歯科医院を見つけ、現在そこに通院しています。 結局、始めからやり直さなければならなくなり、再矯正に入り、現在は保定期間中です。

 私は時間もお金も無駄にしてしまい、そして歯根吸収まで起こされて、泣くに泣けない状態で、家族 の理解も得られず、毎日のように歯が抜ける夢を見たり、かなり精神不安定になりました。現在は、 噛めるようにはなりましたが、歯の事を考えると、とても不安です。  歯根吸収の部位ですが、上顎下顎とも前歯がひどく、とくに下顎前歯がひどいです。矯正する前の 半分以上無くなっています。今現在、グラグラしているわけではありませんが(歯の裏側に固定の保 定装置をつけているので、外したらわかりませんが)将来的に歯が早く抜けてしまうのではないかと、 とても不安です。
・一度歯根吸収を起こされてしまったら、もう絶対に元には戻らないのでしょうか?
・スケーリングは、毎月やっても歯肉に悪影響はないのでしょうか?
・また、歯石は1ケ月位で、もうできてしまうのですか?

 後、噛み合わせの関係で第2大臼歯をアンレーにすると言われています。その歯は、噛み合わせ の面だけレジンが詰められています。アンレーというのは、ハーフクラウンのようなものですよね?
インレーならともかく、自分の歯がかなり残っているのに、金属にするのはもったいない気がするの ですが、噛み合わせの為に補綴治療をするというのは、よくある事なのでしょうか?
長くなってしまいましたが、宜しくお願い致します。

回答  医療は、それぞれの医院で90%〜50%?(それ以下だと経営が成り立たない)の成功率で医療 行為を行っています。成功率が高いに越したことはないけれども、90%の医院で治癒しなかった モノが50%の医院で治癒することもあります。その意味で、かならずしも最初の医院での治療方針 が悪かったとは言い切れませんが、結果としては上手くいかなかったようですね。
 しかし、一般的には“矯正をする限り抜歯は必然”という認識です。結果が伴えば最善の選択だっ たかも知れませんが、裏目にでれば“それみたことか”ということになります。過去のことはさておい て、歯根吸収した歯についてですが、一旦吸収された根っこは元にもどることはありません。反面、 異常な矯正力が排除された時点で更なる吸収も止まります。吸収されて短くなった根っこは、当然 の如く歯周疾患による骨破壊の影響を受け易くなりますが、決して歯周疾患の進行速度を早める ものではありません。10mm骨破壊が進んだ時に抜けてしまうか動揺する程度ですむのかの違いで す。これから50年間、歯槽骨の破壊を10mm以内で済ませれば80歳まで歯は残存するということを 念頭において(通常なら30年程で10mm)、歯周疾患進行を抑制すれば何ら問題はありません。

 そのためには、歯磨きだけではダメ。定期的な歯石除去は必須です。“スケーリングは、毎月やっ て歯肉に悪影響がある”と思われている先生も多いと認識していますが、実際には毎月やってこそ 健康が保たれていることを知っている先生がほとんどいないはずです。
 その証拠に、普通通りしていたら60歳で残存歯数は半分以下です。ちなみに1か月で十分取るに 値する歯石が沈着しています。

 二次カリエスや咬合関係の狂いという問題もありますので、補綴物の再製が一概に悪いとは思いま せん。問題点を納得できるよう説明を求めて、必然性が理解できれば再製することも必要ではない でしょうか。おそらく、何らかの必然性があるのではないかと思います。

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