金属器材の破折→残存は治療遂行上避けることのできない偶発事故です。
不安な抜髄

日付、時間:10/30 TUE 17:20 Japan 2001   氏名:NK  
所在都道府県:東京   職 業:会社員   年 齢:28歳      性別: female  

質問:
 10年ほど前に、右上の7番の歯を抜髄する治療をしました。 当時診療して下さった先生は、何回かに分けて根の掃除をして下さったのですが、その際 毎回、小さめの器具と薬をつけた綿をつめて帰宅をしておりました。その器具が、残って いるのではないかとずっと不安に思っておりまして、2ヶ月ほど前に違う先生に診察して 戴いたところ、器具が残っているとの指摘はなかったのですが、その歯がまた虫歯になっ ているとのことで再度根の治療をし、金属をかぶせて頂きました。
 器具が残っていず、治療もしていただき安心していたところ、2日前からその歯の歯茎が 激しく痛み、あるくだけでずきずきし、歯茎の上の部分がとても腫れています。
やはり、器具が残っているのでしょうか?
2ヶ月前に治療していただいた歯医者には、レントゲンはあるのですがCTは有りません。 大学病院などにいき、診察していただくべきなのでしょうか?
お忙しいところ、恐縮なのですがご意見頂けると幸いです。

回答  リーマなどの金属器材の破折→残存は治療遂行上避けることのできない偶発事故です。 実際を診ていないので絶対とは言えませんが、お伺いした範囲では破折を疑う根拠は全く 見つかりません。また、根管治療にまつわるトラブルの中で金属器材の破折が占める割合 は非常に小さく、それ以外の要因を考えた方が自然です。特に治療し難い上顎7番ですと 根管治療の成功率は50%以下だという認識から物事 を考えるべきではないでしょうか。

 “歯茎の上の部分”がどの位置を示しているのかが理解できませんが、歯茎の腫れた位 置の中心部に何か原因が潜んでいるものと思われます。その位置と状況により原因を特定 して、原因が排除できるものであれば回復の見込みもあります。その程度の歯科治療では、 何処で治療してもCTは撮りませんし、仮にCTを撮ったとすれば保険外で莫大な金額が 請求されます。CTはともかく、大学病院は時間がかかりますが一番無難な選択だと思い ます。


返信:2001年11月20日 17:28
10月30日に抜髄の不安(右上7番の歯)に関して質問させて戴いた者です。お忙しい中、お 答え頂き有り難うございました。
 その後、通っていた歯科に行き、抜髄をし直すことになり今月初めより治療をしておりま したが、また歯茎がぷくっと腫れてしまいレントゲンを撮ったところ、その歯(右上7番)の 奥の、歯に一番近い骨が、黒く移っており(縦1.2cm、横1.5mm程度)骨が壊死しているとの ことでした。
その壊死している骨を削り、腐っているまわりの肉をソウハして、なくなった骨の部分に 人工の骨を入れるとのことでしたが、その治療で間違いなく完治するのでしょうか?
先生は、「簡単な手術だから安心して。」とおっしゃるのですが、不安なので、お答え戴け ればと思います。
また、人工の骨とはどんなものなのか、数年後入れ替えの必要があるのかも教えて戴ければ と思います。
 説明が下手なので、症状がわかりづらいかと思いますが、どうぞ宜しくお願いいたします。

回答:
 ひょっとしたら、その治療間違いなく失敗するかも知れません。
表現はともかく“骨が壊死している”というからには、それなりの原因があるはずです。 その原因として最も考えられるのは、このたびの根管治療です。確かに処置そのものは説明 通り“たいしたことはない”と思いますが、原因を特定して排除しない限り治癒は見込めま せん。
 また、仮に原因を排除したとすれば、何も人工の骨を 使わなくても治癒します。また、人工骨を使って治癒したとすれば、将来汚染されて炎症が 起こらなければそのままでも結構ですが、汚染されて炎症を起こすようだと除去しなくては なりません。いずれにしても人工骨を使うことには反対です。まぁかつて日本一?人工骨を 使った私の意見ですから、ちょっとは重みがあるはずです。
/(-_-)ヽ コマッター もんだ…。ますます不安になりますねぇ。


返信:2001年11月21日 10:25
 10月30日、及び11月20日(昨日)質問をさせて頂きました、NKです。 ご回答頂き有り難うございました。大変恐れ入ります、もう1点お伺い致します。
 昨日の回答が、「原因の特定ができていなければ、壊死部分のソウハをしても失敗する。」 とのことで、ごもっともだなと思ったのですが、現在私は、根管治療のやり直しの途中なので すが、担当歯科医のかたが、「以前の根管充填の際のものが、いくら溶かす薬を使っても溶け ないので途中まではできるが一番奥までは、無理。骨が壊死した原因は、一番最初の抜髄から 10年と、かなり時間が経っているから。」と、おっしゃいます。
・・・、この答えだと、河田先生のおっしゃる通り、「原因が特定できていないのに、壊死 部分のソウハをしても、失敗する。」につながりますよね。。。病院を変えてみれば、私の ような状態でも以前の根管充填のものを溶かし、原因を特定すべく治療をしていただけるの 歯科医のかたがいらっしゃるのでしょうか??

感想:
度々の質問にもかかわらず、ご丁寧にお答え頂き感激しております。 私も関西地区に住んでいたのなら、絶対に河田先生のところに通院するのに・・・と思っています。 関東にも、親切な歯科医の方がいらっしゃれば・・・と思います。

回答:
 “いくら溶かす薬を使っても溶けない”ような根管はひょっとして根管治療に問題がない 可能性があります。本当に悪い根管は苦労すればどうにか開くものです。歯科医の技術は 一律ではありませんので、おそらく世の中にはお探しの様な歯科医もいるとは思いますが、 現実に探し当てることは不可能に近いかも知れません。偉そうなことを言っている私も、 実際に診て・触って・治療して・おまけに治療経過をみないと、場合によってはそれでも 分からない状態です。
 “10年と、かなり時間が経っているから”は理由になりませんが、基本は正確な根管 治療です。それがどの程度まで行われているかは文面からでは推測不可能です。近くなら 一度来ていただいても十分価値があるとは思いますが、わざわざ遠いところから来ていた だいて期待に応えられるかというと少々疑問があります。

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