日付、時間:11/06 TUE 13:46 Japan 2001
氏名:y.o
所在都道府県:東京
職 業:その他
年 齢:36歳
性別: female
質問:
下の歯の親知らずが左右とも埋没しており、しばしば痛みを伴うので、大学病院へ抜歯の
相談に行きました。CTスキャンのような歯の輪切りのレントゲンを取った結果、左は
根の壁面の3方がだめになっており、すでに歯が微かにぐらつく状態、右は親知らずが歯
根を吸収しているといわれました。奥歯の保存は不可能と言われましたが、入れ歯やインプ
ラントには抵抗があり、歯牙移植を強く希望しています。
私の場合、親知らずの根があごの骨に定着しているため、これを移植するのは、開いて見な
ければわからないといわれていますが、かなり難しいと言われています。ここで私は丁度前
歯が出っ歯でかみ合っていない(当然奥歯への負担がかかっている)ことから4番を抜いて
前歯を矯正し、その4番を奥歯に移植と言う案を考えたのですが、大学病院の先生にそのよ
うな症例はないし、大きさがあわないから無理、と頭から却下されてしまいました(普通
は親知らずを移植するものだと)。
実際に4番を奥歯に移植するのは不可能なのでしょうか?
私の希望としては少しでも自分の歯で長く噛みたいと思っています。
並びは良くないけれど(片方八重歯)歯はとても大切にしています。
歯牙移植は、上手くいけば10年以上保つ可能性がありますが、平均的な寿命は5年程度と
いう認識を持つべきです。どうしても抜かなければならない歯があって、たまたま移植に適
した歯が存在する場合に試してみる価値は十分あります。しかし、結果が不安定なだけに保
険適応外で結構費用としては高額になってしまいます。「費用が高いから結果が良い」とい
う考えは医療には当てはまりません。「難しいから、リスクが高いから高額」と解釈すべき
場合が多いことを念頭におく必要があります。
すでに3壁を喪失している親知らずは、少なくとも周囲骨を失っている部分は生体にとっ
て異物となっていますので移植には不向きです。歯根吸収を起こしている親知らずも決して
ダメとは申しませんが、移植できる状態に抜歯できるかどうかを含めて、事前に移植を期待
することは技術的に不可能です。
一方健全な4番は移植できる可能性が予測できますが、抜歯直後の大臼歯部の形態に合わす
ことに技術的な問題が生じます。一層のこと大臼歯を抜歯して1年程度骨の回復を待って、
4番に合った穴を掘って移植するのであれば可能性は高くなります。
何れの方法も無理をすれば可能性がないわけではないと思いますが、その結果が5年の
寿命では何か報われない感じがします。それだけの努力をするのであれば、抜歯しなくては
ならないという奥歯の延命処置を考えたほうが報われるように思いますがいかがでしょうか。
それと、36歳になって4番を抜いてまで矯正することがそれほど大きな価値を生み出すか
どうかも検討の余地が十二分にあるように思います。
申し訳ありません、私の書き方が未熟でした。
3壁を喪失しているのは(左の)奥歯で、親知らずの根はあごの骨に癒着しているような
かんじで,CTスキャン?にもあまりはっきり写っていない様です。
大学病院の先生には、左奥歯を残したいと申し出たところ、もう無理でしょうといわれまし
たが、3壁がないというのはそう言うことなのでしょうか・・・?
その場合、親知らずの移植(可能かどうかわからないといわれていますが)、4番の移植、
インプラント(これは最後の手段)と、このなかのどれが適切と言えるでしょうか?
因みに4番の移植は、先生はやったこともないしできないと断言されてしまったのですが・・・。
すみません、そう言うわけで奥歯の延命処置は難しいかと思われます。どうしても入れ歯や延
長ブリッジは避けたいのですが、歯牙移植とインプラントを比較したときに、金額や持ちを考
慮しても、まずは歯牙移植に希望を持ちたいと思ってしまったわけです。
まず5年でもかまわないから、自分の歯で噛みたいんです!
36歳からの矯正にはもちろんたいへん抵抗があります。ただ、前歯がかみ合っていないこ
とによって奥歯に負担が大きいと聞きましたので、奥歯を守る為には、やむをえないものかと
考えたわけです。実際には前歯が噛まないことによる奥歯への負担の症例ってどのようなものが
あげられるのでしょうか?(←すみません、この質問のし方であっているでしょうか?)
ただ、矯正をもし始めた場合、毎年、1ヶ月ほど海外に滞在する為、その間になにかあったら
・・・と、また別の問題も発生してしまうのですが・・・。
とにかく歯を大切にしたいあまり、今必死です。
回答:
“歯を大切にする”って毎月歯石を除去する習慣を身につけることです。これさえ実践す
ればほとんどの歯を生涯残すことが可能ですし、そうしなければ60歳くらいでほとんどの歯
を失います。特に何かにつけ奥歯を喪失する可能性が高いわけで、そんな時の理由として
「前歯が咬んでいないので奥歯の負担が…」という理由を見つけて納得するくらいで、前歯の
かみ合わせに問題がなければ他の理由(根形態が複雑とか歯磨きが行き届きにくい…など)の
理由付けをします。
私の経験では前歯の開口による奥歯の喪失はゼロ?です。歯周疾患の真の原因が見つけ出さ
れていない現状では、あらゆるリスク因子を排除する傾向があります。本当の原因(この場合
歯石)さえ排除しておけばそれ以外のリスク因子は無視できる範囲にあると認識しております。
さてさて、歯牙移植ですが、今の先生の経験と価値観、さらには技術からみて説明通りだと
思います。親知らずの移植や4番の移植が絶対無理というものでもないし、それを実践してく
れる先生もいらっしゃると思います。また、3壁性骨欠損の奥歯も延命処置を試みる先生も
いらっしゃるのではないかと思います。
問題はその先生をどうやって探すかです。少なくとも一般的な歯科医療レベルを超えた医療
行為ですのでそう簡単に見つからないかも知れません。考え様によっては、それら全てを含め
て現代社会ですので現実を受け入れなければならない事態も覚悟する必要があります。
私の提案は、第一に3壁性骨欠損の奥歯延命。これはひょっとして親知らずを長々と放置し
ていたせいかもしれないし、そうだとすれば親知らず抜歯と根管治療などにより回復の可能性
もあるかも知れません。しかし、それがかなわなかった場合、7番?欠損部位に何も補綴処置
とかを行わないでそのまま放置。→同じ過ちを繰り返さない努力と、残存する他の歯を生涯
残すための努力を積み重ねることです。
大変参考になります。ありがとうございました。現在、歯磨き粉3種、歯ブラシ3種を使い分け
がんばっています。
歯牙移植は大学病院の先生はやはりあまりよい顔をしないです。延命措置に関してはお願いし
てみたのですが、まず、難しいといわれます。どのように提案したらよいのでしょうか?
また7番欠損部位にほてつ処置をしないということはぬいたまま、放置するということでしょ
うか??
回答:
補綴処置をしないということは、そのまま放置するということです。その場合、もう1つ
の選択として親知らずを抜かないで自然に7番部位に移動してくるのを待つということも考え
られます。勿論その前に、7番が本当に保存できないか、また親知らずの位置や形態が移動を
期待できるものであるかどうかの判断が必要です。
この方法は、7番抜歯がやむを得ない時の選択として年に1〜2回試みますが、あつかまし
いような症例でも案外所定の効果が得られるような気がします。なお、親知らずの移動には
2〜3年ほど必要です。
歯牙保存に関しては、同じ大学病院でも保存科(歯内療法科)の先生に聞かないとダメで
しょう。また開業医でも歯牙保存に熱心な先生を見つけないと見込みはないように思います。
歯牙移植や抜歯は、口腔外科が専門ですのでそこで保存を頼んでも余程でないと治療をしない
と思います。
返信:
先生、こんにちは。お返事有難うございます。いろいろアドバイス有難うございます。
本当に有難うございます。
私はもう36歳なので、親知らずの自然な移動は期待できないんだそうです。親知らずの根が
あごの骨に定着しているからだそうです。やるとしたら移動するよう矯正することになってし
まうのだそうです。
先生のご提案どおり、3壁性骨欠損の奥歯延命が、私にとっての第一希望です。ただ、大学病
院の担当医(口腔外科です)の先生は延命は無理ということでしたので大学内で、保存科に転科
するか、またよその大学病院を当たるか・・・?
それとも、先生が前回のメールでおっしゃっていた通り、これが現実として担当医のいうとおり、
抜くしかないと腹を決めるしかないのでしょうか。
先生のところにかかれないことが悔やまれてなりません・・・。
報告:2002年2月4日 14:16
河田先生、こんにちは。以前いろいろアドバイスを頂きました。本当に有難うございました。
結局歯を抜くことになってしまいました。のうほうがあるので仕方ないみたいでした。
本当に有難うございました。